旅するトナカイ

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でんしんばしら

15番地の電信柱が、14番地の電信柱に言いました。
「14番地さん。小鳥たちは、何を騒いでいるのかしら」
「さあ。何でしょう」
先刻から、灰色をした鳥が、あわてたように飛び回りながら
ピイ、キイキイキイキイ、と鳴いたところへ
べつの1羽が、幾筋か向こうから
ピイ、キイキイキイキイ、と答えます。
その声には幾分、何か、差し迫った感じがあったのです。
「嵐でも来るかしら」
「どうでしょう。でも、彼らは、風に敏感だから」
「わたし、嵐って、いやだわ」
「分からないけれど」
2羽の鳥は、ぐるぐると円を回りながら
遠回りに、北の方角へと飛んで行きました。