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【社会学#2】人間の生きるみち

今日たまたま、facebookのシェアでこの知恵袋の話を見ました。

弱者を抹殺する。不謹慎な質問ですが、疑問に思ったのでお答え頂ければ... - Yahoo!知恵袋

 

質問者さんは「弱肉強食が自然界の摂理なら、弱者を守ろうとする人間界はおかしくないか」と。

ベストアンサーの回答は、前提からきちんと解きほぐしつつ、人間社会の成り立ちとあるべき姿を見事に整理されています。

ぜひとも上記リンクで読んでいただきたいのですが、多少言葉は変えつつ要約すると

「自然界の摂理は弱肉強食ではなく、適者生存。

生物はそれぞれ、その環境の中で子孫を残して種として繁栄しつづけるための『生存戦略』を持っている。大きくなるとか固くなるとか、深海で生きれるようにするとか。

人間の生存戦略は『社会性』。

たとえある日突然世界がガラリと変わっても人間という種が絶えないように、あらゆる特殊性を持つ遺伝子(イレギュラー≒弱者)もみんなで助け合って保護しておくことで、リスクヘッジをしている。

だから、どんなに人間が闘争を繰り返そうとも、人間社会では闘争よりも恊働が優先されるべき、と社会科学は唱える。」(もし齟齬があったらすみません)

 

例えば、目が見えない人は今は社会的弱者かもしれない。

けど、ある日突然、世界から光がなくなったら。

目が見える人はたちまち、何もできなくなる。でも、目が見えない人にとっては、それが当たり前なので変わらず自分の生活を続けることができる。

光のなくなった世界では目が見えない人こそ「適者」で、だから人間という種を絶やさないためには、もしもに備えて目が見えない人の遺伝子も大事にしておかないといけない。

「光がなくなるなんてまさか」と思っていてはいけない。太陽が地球の周りを回るってのが実は嘘だった、ってこともあったのだから、人間の知恵は全宇宙の可能性を正しく予測することなんてできない。

だから、全ての可能性を残しておくために、あらゆる特徴的な人を保護する。

身体的特徴じゃなくても、思想でも、嗜好でも、なんでもそう。

 

このことは、この掲示板で質問者さんが投げている「社会保障の必要性」以外の課題にも答えられる、人間社会というものの根本を解き明かしている話だと思う。

 

どうして人は人を殺してはいけないのか?

どうして他人を思いやらなければいけないのか?

どうして自由を目指さなければいけないのか?

どうして人権は守らなければいけないのか?

どうしてみんなが幸せを求めなければいけないのか?

 

それは、できる限り多種多様な人が、遺伝子を残して、種を繁栄させるためなのだ。

 

ただし、回答者さんが触れている通り、

繁栄しすぎてしまって多すぎる世界人口をどうしたものか、というのは、また別の話。

 

この考えが、全ての社会学の出発点だと思ったので、ここに記録しておきます。