旅するトナカイ

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【社会学#13】安保法案まわり、逆に見てみた。

安保法案がホットだ。

私は今回の安保法案はどちらかといえば反対派で、なぜかというとなるべく搾取や殺人は許されて欲しくない、と素朴に思うからだ。
こんなに反対派が声を上げているのに法案が衆議院を通ってしまう民主主義って、なんだかおかしいと思う。
 
でも一方、私の日常生活では、賛成派の意見がぜんぜん耳に入ってこない。これもなんだかおかしい。
メディアもSNSも、誰もかれもが反対!反対!と叫んでいる。
政府は安保法案をとにかく通そうと躍起で、政府以外の情報機関がこぞって安保反対を煽る。
この二項対立のような構図は、民主主義だろうか?
 
ちょっとでもその喉元悪さをすっきりできればと、
反対派の立場から、それとは別の見方をしてみよう。
 
安倍総理は退陣すべし!!
⇔確かに安倍総理もういいよ…とは思うけど、いま退陣されると余計に厄介。
誰かが総理をしなきゃいけないから他の人が総理の座につく。
でも安倍総理のショックから、次の総理はとりあえず「私は安保法案を廃案します」って言っとけばいい感じになって、他の政治経済文化をリードする構想や能力をフェアに測れるか疑問。
民主主義の実現のため、複数候補者のうち支持を集めた人が次のリーダーにしよう!なんてなると、何人かの廃案派の候補者は票が割れて、安保賛成派の候補者は賛成派票を独占、結果賛成派に決定、なんてこともありうる。(神戸空港建設時の市長選みたいに)
総理が変われば世の中が良くなるわけじゃない。別の方法で良くしていきたい。
 
◆既に日本はイラク戦争に加担している!戦地での人道的支援は良いけど、殺人幇助は許さない!
…このはなしは山本議員も指摘しており、下記の本に詳しい。 
⇔この「違法だ、違憲だ」という声に、自衛隊の方々はどう思うのだろう。
想像だけど、自衛隊が「人道的支援」のために物資を乗せて戦争の起こっている国に行くと、その先には、アメリカとか他の友好国の隊員がいる。彼らはガチの戦争をしてる。
自衛隊員の方、どうかその輸送機で我々の人員や物資を運んでくれないか。ほんの数キロ先でいいんだ。日本のルールは知ってるけど、こっちには生死がかかっている、どうかお願いだ」と懇願されたら、
「日本の自衛隊はモノだけ運んだら尻尾巻いて帰るのか、命がけで戦っているおれたちを見殺しにするのか!」と罵られたら、
それでも背を向けて日本に飛んで帰ってこれるだろうか。
目の前にいる人の生命のために、行動を起こした。それを自国に戻ると犯罪者よばわり。
「人道的支援」をされる側だって、「食糧や医療器具もありがたいけど、そんなことより空襲してくるあの飛行機とめてよ、友好国なら説得してよ」って感じじゃないか。
 
日本の自衛隊が、日本の法律だけを判断基準にして、ひとの領地で誰が見ても平和的な活動だけに従事する…なんて、甘いと思う。
他国へ赴くということは、他国の基準・文化・状況と対峙することだ。戦争だからじゃなくて、個人の海外旅行だってそう。ひとの国に来て自分のルールを振りかざすことがどれだけ迷惑か、東京・大阪・京都あたりの人ならだいたい知ってるんじゃないか。
 
 
自衛隊が人を殺すかもしれない法案改定は絶対ダメ!現状を維持せよ!
⇔でも現状の安保法案は、ふつうに考えて、アンフェアだと思う。
日本に何かあったらアメリカは助けてくれるのに、逆はしらんぷり。
かつての経済成長めざましい日本であれば、アメリカにも譲歩するメリットはあったかもしれないけど、今の日本にそこまでの国際的なウマみがあるとは思えない。
ふつうの大人が、ふつうに判断したら、いまの法案は社会通念上、通らない。
ふつうの理論が通じるふつうの国際人だと周りから思われるためには、現状は確かにうちら良い目見すぎだと認めて、そこからどうする、がないと。
 
 
◆現状の法案もダメ!米軍基地を国外へ移転せよ!
⇔アメリカ軍の人からしてみたら、
愛国心なり正義感なりしゃーなしの事情なりをそれぞれ抱えて入隊した、と思ったら日本基地配属。「なんかあったら日本と協力してね」と言われた時の「これじゃない」感。おもてなしの国だと聞いてきた日本では、住民たちが「国外へ出て行け」と大反対。
新卒採用が3年で会社を辞めていく状況と、なんだか重なって見えてしまう。
そんな状況で、本当にいざという時に日本に全面的に協力してくれるのだろうか。相手だって人間なんだから、「だって日々おれらに反対運動する国じゃん」って気持ちがどこかで過ぎらないと言えるだろうか。
そんなことで、日米の持ちつ持たれつの関係なんてお互いに信じられない。それではきっと本当に必要な時に本当に必要な効果を発揮しない。
 
 
◆日本はアメリカの犬になるのか!アメリカの言いなりか!
⇔ではアメリカを手放して、日本が軍事力をまったく持たなくなったら。
戦争ビジネスに明け暮れる他の国に目をつけられて、簡単に潰されちゃうんじゃないか。
日本なんて国際的にみれば、ちょっと手先が器用な民族が住む小さな国、くらいかもしれない。
たとえばガラパゴス諸島には素晴らしい自然があるけど、でもここを潰しちゃえば日本の貧困や自殺や少子化やあらゆる問題が解決するよ!ガラパゴスの自然はあなたの明日の食事を保証してくれるわけじゃないでしょ、どっちが大事か考えてごらん!と言われたら、それでもこの島を守ろうとするだろうか。
同じように、日本は世界から守られる保証なんてどこにもない。
日本製品や日本文化は、すばらしいけど、外国の人にはなくても構わないものだし、
ストップすると困る日本企業や技術があるなら、さっさと海外の企業が買収すればいい。

では弱者が生き延びるには。
けっきょくコバンザメするしかない。
コバンザメするなら、サメにとって有益なコバンザメであり続けなければならない。
いま、このコバンザメは、サメにとっての有益性が揺らいでいる。
このままじゃマズい。サメに見捨てられたコバンザメはイルカに食べられてしまう。


以上、考えてみると
人が死んだり殺されたりすることには反対したいけれど、それだけでは何も解決しないのだ。
野党は与党に反対反対さけんだり、「感じ悪いよね」なんて幼稚なプラカードを印刷してる場合じゃなくて、
同じ課題認識の土俵に立って、代案を考えなきゃいけないのだ。

野党だけじゃなくてもいい。
たぶん今、誰がそれを考えてもいい。