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デスキャブのキモオタがフジロックを見た感想

フジロック2019の2日目にデスキャブを見たデスキャブオタクの個人的な感想です。デスキャブに対してとてもキモい形で愛が溢れているのでご理解の上でお進みください。

 

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Death Cab for Cutie、略してデスキャブ

このブログでも度々キャブ様の情報をお伝えしてきて、本人たちにも有形無形で「日本に来て欲しい」という念を送ってきました。

 

すると数年ぶりに来日。それもフジロック2019。

 

私の念が通じたとしか思えない。

 

私が呼んだとしか思えない。

 

 

呼んだからには行かねばなりません、フジロック

たとえ4日前のシンガポール公演に行く方が安く済もうとも。

 

 

 当日

当然ながらキャブ様を日本に呼んだのは他の誰でもないフジロックの運営さんですが、概念的には私が呼んだも同然だと思っているキモオタの心は止まらないフジロック2日目、天気は大雨。

雨にも負けず、風がなかったのか幸いでしたけども、ずぶ濡れで奪われる体力をなるべくホワイトステージに温存し、直前のAmerican Footballも初めて見たけどええなあと体を揺らしながら、来ましたついにホワイトステージ大トリ。キャブ様の時間です。

 

 

転換時間

American Footballのあと、1時間の転換時間も前方で雨の降りしきるなか立ちんぼ待機。

同じようにキャブ様を楽しみに前方で待っている人たちがたくさんいることに嬉しくなりました。そうだよね、みんな待ってたよね。

 

思った以上にたくさんのスタッフがステージ上で忙しく働いている。1バンドでこの人数なら全体ではかなりの大勢のプロたちにフジロックは支えられているんだと驚きました。

キャブ様仕様にステージを作っていくスタッフたち…

アメフトの機材を下げ終えて、ドラム台が台車で運ばれてきた…と思ったら、ドラマーのジェイソンさんふっつーに座ってるぅぅぅぅ

 

こんなにぬるっとステージに出てきていいんだろうか。正規メンバーが。

ご本人は全くそんなことには構う様子もなくサウンドチェックをしています。

スティックの具合を1本1本確認するために、自分の頭をスティックでポコポコ叩いています。なにこのひと。

 

そうこうしているうちに、悪天候のためにステージ時間が早まることが画面でアナウンスされます。

待ち時間が短くなるのはラッキーだなと思って雨の中待ちます。ひたすらステージに打ち込んでくる雨を水かきで掻き出すスタッフさんに「これいざライブ始まったらステージ水浸しなのでは…」と心配になりながら。

 

 

本番

ついに始まりました。

最新のアルバムのオープニング曲「I Dreamt We Spoke Again」から始まり、ツアーのセットリストを少し短縮したような感じで最新曲はもちろん往年の名曲やベン様のソロ曲も挟んで後半にまた盛り上げてくる構成。

(セットリストはこちらにまとまっています)

2019年7月27日(土)Death Cab For Cutie「FUJI ROCK FESTIVAL'19」苗場スキー場 セットリスト | 日刊セットリスト(セトリ)

 

アンコールする気満々だったのに、天気の都合もあるのでしょうか、アンコール曲として定番の「Transatlanticism」までそのまま行かれてしまいました。そして5人はステージ前方でしっかりお辞儀をして去って行きました。アンコールするきまんまんだったのに!!

「Transatlanticism」が聴きたいだけではない、アンコールということがしたい。ベン様たちに「私たちこんなにデスキャブが聴きたいんだよ」ってことを伝えたい。

 

しかし有無を言わさずホワイトステージは23時で閉会、一方通行で帰されてしまいました…。

 

 

新メンバー2名の活躍

ライブを通して、今回新しく加入したサイドギターのデッパーさん(ステージ向かって右側、手前)とギター&ピアノのザック氏(その奥)の活躍を存分に見れたのは今回の大収穫。

デッパーさんはますますお茶目で熱く、ザック氏はますます寡黙でほぼ不動(というか私の位置からはデッパーさんに被ってほとんど姿を拝めなかった)で黙々と良音を叩き出してくれる、そのキャラの違いも見れて大変満足です。

欲を言うなら、デッパーさんの良さは存分に味わえたので、ザック氏の天才ピアニストぶりをもっとドヤって欲しかったんですけど演奏時間が短かったのでそこは仕方ないですね…。

もちろん既存メンバー3人も安定の演奏、っていうかめちゃくちゃ安定の演奏。過去のライブの配信とかを見ていると多少乱れることもあるみたいなんですけど、今回はのっけから5人ともがエンジン全開で来てくれて、フェスだぞ!!って感じが伝わってきたのがとても嬉しかったですね。

ドラムのジェイソンさんはリハの時とは別人かのような存在感が溢れてたし、ベースのハーマーさんの「I Will Possess Your Heart」における腰の位置の低さはかっこよすぎてもう漢でした。

 

ベン様の「アリガット」

海外遠征では現地語で喋るベン様…(半分くらい外国人いるんだから英語で喋ってもいいのに…地元リスペクト良い…。)

曲の合間合間に「ありがとうございます」と控えめな感じで言ってくれる姿がもうかわいいったら。

ほとんどMCはなく、ぶっ通しで演奏です。冒頭に一言何か言ったかな? あと終盤の「Soul Meets Body」で「知ってたら一緒に歌ってね」って言ったぐらいです。こんなに曲間を開けないか!ってくらい詰め詰めで演奏でした。

 

 

ライブが終わって最初に思ったこと

キャブ様が演奏してそして去っていったあと、本来のファンなら「良かった!最高!」っていう気持ちを持って帰るところなんだと思います。周りの反応とかTwitterとか見ててもすごく好評だし、本当に良いライブだったんだと思う。

でも個人的には、もうね、キャブ様のこのフジロックステージが終わって…悲しくなっちゃった…。

 

あっという間に、アンコールもさせてもらえずにライブが終わってしまったこともそう。

 

いやでもそれより、それ以上に、

 

 

キャブ様はまた日本に来てくれるかな…

 

その不安の方が大きくてなってしまいました…。

 

5人は心から日本でのライブを楽しんで、日本っていいね!しばらくツアーから遠のいてたけどまた来ようね!って思ってくれたかな…。

 

どうしてそんな風に思ってしまうのかと言いますと、それまでに見てたCAKEとかのライブでのMCを思い出しちゃったのもあるんですよ、というかそれを聞いた上でベン様の振る舞いを見ていると「大丈夫かな?」って思っちゃったんですよ。

 

まず何よりも雨と湿気

もうこの天候問題は野外フェスではなんともしようがない。

CAKEのボーカルの人がギターを持ち替えながら「このギターは乾燥した地域のだから、こんな湿気で今日はこいつのご機嫌ナナメだぜ」的なことを言っていました。そりゃアメリカ西海岸の人からしたらこんな湿気(っていうか大雨)想定外だわ。

 

その上、キャブ様に至っては転換時間・出演時間が予定よりも早まったり、しっかり23時までって決まってたりするの(雨のせいなのか本来のフェスのルールなのかは詳しくないのでわかりませんすみません)って、ミュージシャンの中には「良いよ良いよ、安全第一だよ!」って人もいれば「え、なにそれ…?」ってなる人もいると思うんですよ。

キャブ様はとても寛容なバンドだと思ってはいるけど、本来ならアメリカ大陸を出たくないであろうタイトなツアースケジュールの中わざわざ極東の山の中まで来て、それでこの天気でこの予定変更でしょ…? テンション下がるかはわからないけど上がりはしないよね…。本人たち以上に、ツアースタッフの皆さんが転換とかに苦労されたかもしれないとも思う…。

 

どの曲だったか、ベン様が曲のど真ん中にも関わらずギターを交換したシーンがあったんです。ギターからシールド抜いて待っていたら、曲の切れ目のところでスタッフが別のギターをステージに運び込んで来て、慣れた手つきで交換していました。

ねぇそれって雨!?雨のせい!? ねぇねぇそれ雨のせいなのそれともそこはギター交換する演出なのどっち!!??

って見てるこっちは気が気じゃなかったよね…。

 

なんかもう雨のせいだったらほんとごめんねベン様、って感じ…日本の気候を代表して謝りたい…。

 

 

日本と西洋の盛り上がり文化の違い

私が「海外におけるライブ鑑賞文化の違い」に最初に衝撃を受けたのは、何を隠そうあのスーザン・ボイルが「Britains Got Talent」で歌っていた時の映像なんです。


Susan Boyle - Britains Got Talent 2009 Episode 1 - Saturday 11th April | HD High Quality

 

この映像をはじめて見た時に「えっ、観客うるさ…」って思ってしまった。

こんなに熱唱しているのなら静かに聞き入るのが観客の礼儀だと思っていたけど、どうやら西洋では、ミュージシャンが演奏中であろうと思いっきり歌い上げている時だろうと、高揚した観客は歓声をあげていいらしい。むしろそうやって観客側の気持ちを伝えるコミュニケーションがショーの中にあるらしい(もちろんその中でも、こういう時はNG…みたいなマナーはあると思いますが)。

 

これもCAKEの人が曲の途中に静かなパートになって「演奏が静かになった時は観客が盛り上がるんだぜ」と言っていたので、あーそういえば外国のライブってそんな感じだな、と思い出しました。

日本では逆に、静かなところは曲に合わせて観客も静かに聞き入りますよね。逆に盛り上がるところは観客もはっちゃける。今この瞬間、音楽が作っている世界観に観客も合わせて一体になる、という感じ。

 

で、キャブ様のライブの話に戻ると、あの感じ…

 

ベン様には足りてたかなぁ…。

 

冒頭はキャブ様全員もノリノリだったし、観客も「待ってました!」って感じで大盛り上がりで、ステージとフロアが一緒にアガっていってたんですが。

7曲目「No Sunlight」の最後を「ジャアアーーーーン…」って感じで伸ばして延ばして煽っている時、ベン様はしきりに「こんな盛り上がりじゃ終われないぜ、もっとこいよ」的なアクションを観客に向けていました。

 

いや、こっちもうこれ以上盛り上がれんってぐらい盛り上がってんですけど。

これ最高潮なんですけど。

 

てかあんたら最高なんですけど。

 

それぐらいの歓声がフロアから上がっていたのですが、ベン様は「もっとこいよ」を5回ぐらいやってましたっけ。

屋外とか雨とかのせいで、こちらの声がステージに届きづらいとかもあるかもしれないです。というか主にそれが原因だったんじゃないかと思ってもいる。

こっちはこんなに盛り上がってるのに、あれ? もしかして足りてない?? って、最初に思ってしまったのはそこでした。

 

 

 

そして合唱文化の違い

その後、必涙の名曲「What Sarah Said」に続いて、ベン様のソロ曲「I Will Follow You into the Dark」。

これも海外とかだとフロアと大合唱したりするんですが。

 

日本って合唱しないんだよごめんベン様。

 

ライブ会場で「歌うお客さん」ってあんまり評判良くないし。

私も隣のお客さんが熱唱し始めて「あんたの声を聞きに来たんじゃねえ」って思っちゃったことあるしそれで立つ場所変えたことも何度かあるし。

よっぽど「ここはみんな歌う」っていうのがファンの間で共有されていない限り、迷惑になりそうで、何よりステージの上の人の声をしっかり聞きたいので、歌ったりはしないんだよなぁ…。

 

とはいえポロポロと歌っている声は聞こえていたかな? でも囁き声程度、っていうかそもそもここからまた雨降り出したからお客さんの声なんか聞こえん。

 


Death Cab for Cutie "I Will Follow You Into The Dark" (Acoustic)

 

念の為言っておくと、決して「日本の観客も海外の観客と同じようにしろ」と言いたいわけではないのです。断じて。

音楽は自由であるはずだし、観客も自分の好きな楽しみ方で楽しめばいい、というのが私の基本スタンスです。アーティストのために観客が無理して盛り上がらなくちゃいけないなんて、そんな全体主義はライブ会場に持ち込みたくない。

でもその感じが海外のアーティストには伝わらない、文化の違いという埋まらない溝がある気がする…それは如何ともしがたい…。

 

この曲の鉄板ネタの「最後のサビになかなか入らないでフゥゥ〜って鼻歌歌う」やつでも、例の「静かなところほど静かに聞く」を発動して歓声が上がりもしませんでした…。

 

でもみんなめっちゃ味わってるから。

みんなめっちゃ良いと思ってるから。

盛り上がってないわけじゃないから。

 

この気持ちをステージ上のベン様にわかってもらう術は、曲間に頑張って歓声を送るぐらいしかない…無力な私という存在…悲しい…。

 

そのあとはもうひたすら雨問題

しかも「えーい、いっそのことずぶ濡れで楽しもうぜ!」ってなるほどの豪雨でもなく、カッパのフードをちゃんと着ていればそれなりにしのげてしまう程度の中途半端な大雨。

カッパをしっかり着込んでいては、もちろん音もこもってしまうし踊りにくいし、こちらの声もステージに届きにくい。

「Soul Meets Body」の「パラッパラッパっパ〜」もみんな歌ってるんだか歌ってないんだか、雨のせいでよくわからなかった。客席でわからないんだからいわんやステージをや…。


Death Cab for Cutie - Soul Meets Body (Live at KROQ)

 

そして雨は降り止まず、中盤のスロー曲で落ち着いた観客のテンションがまたライブ開始時ほど持ち上がることはなかったように思います…というか各々の気持ちはめっちゃアガってたと思うんですけど、天気が天気なのでそれを見た目に表すのには限界があった気がする…。

 

 

そこに加えて、ノーアンコール

有無を言わさずに始まるラスト曲。

「これが最後の曲だよ」っていうベン様の一言に、こっちは「えっ、もう?」「えっ、その曲やっちゃうの?」「アンコールなし?」「え、やだ」っていう感情で、なんか何も声が出なかったよね…。

でも「最後の曲だよ」って言ってんのに無反応な観客って、ステージから見たら「あれ?盛り上がってない?」って思われちゃうよねきっと…。

 

 

それでも「Transatlanticism」は最高でした。

今まで見たキャブ様のライブの中で、一番、「I need you so much closer」という観客の気持ちをビシバシ感じました。

私はいつだってこの歌詞の気持ちでキャブ様を見ていたけど、日本にいるファンたちもみんな同じようにこう思ってたんだ、っていうのが、嬉しくて嬉しくてたまりませんでした。

そうだよねみんな、キャブ様にもっといてほしいよね。

 

こんなにみんな、「So come on」って伝えてるのに、なのにキャブ様はあっけなくステージから去ってしまった…名残惜しいお辞儀だけを残して…。

 

 

キャブ様…

 

こんな75分間だったけど…

 

また日本に来てくれますか…。

 

 

日本の観客めっちゃいい! 楽しかった! と思ってくれたかしら。

 

フジロックで見た日本の若いバンドを、次の単独ライブでオープニング・アクトに呼ぼう! って思うバンドに出会えたかしら。

 

日本食うめぇぇぇまた食べに来るぅぅぅぅって思ってくれたかしら。

 

 

私たちがもらった最高の思い出に対して、

最高の思い出として私たちは彼らの心に残れたかしら…。

 

 

 

ちなみにフジロック関連のオフィシャルツイッターのツイートはこれだけです…

 

他のライブ会場ではクッソかっこいいライブ写真をあげてくれてる…あぁぁなんて良い写真なんだぁぁぁ頼むからキャブ様のファン全員これ見てぇぇぇぇぇぇぇ

 

 

…なんだか、日本のデスキャブ・アンバサダーを自負する私がこんなことで本当に申し訳ないやら不甲斐ないやら情けないやら、そしてそれがまた悲しいんですが…。

ツイッター見てたら「デスキャブ良かった!」って言ってる人たくさんいるから、こんなこと考えてクヨクヨしてるのは私くらいで、事実は本当に良いライブでお互いの良い思い出だったのかもしれない。そうであってほしい。

 

もう全ては済んだことなので、次のアルバムツアーでまたアジアに来てくれるかどうかを座して待ちます。

あとはキャブ様の写真を眺めて過ごすことにします。

 

最後になりましたがフジロックの関係者の皆様、キャブ様を日本に呼んでいただいて本当にありがとうございました。

 

 

 

 

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デスキャブ キモオタをする傍、旅人に役立つ漫画を描いています 

 

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