また、まただ。
彼女の目は遠くを見、そこに映っているはずの僕の姿は消えている。
僕がそこに存在する意味は消え、だからこそ余計に、僕の輪郭がくっきりと空間に浮かび上がる。
空気は青色で、僕だけが場違いな蛍光色だ。
「どうだろう」
彼女の声は、彼女の口から出て、その同じ場所に戻っていく。
「私は、よく、分からないけれど」
ああ、今すぐに、地面が裂けて全てが闇の中に呑み込まれたら。
この、結末も、その過程も、なかったことになる。僕は何も感じずに済む。そこには不安定な喜びも、革命的な悲しみも、何もない。
なにもなくていい。
だけど宇宙空間における四次元的試みがそれを許さない。
「 」
彼女の唇が伸縮する。
ああ、もう、世界が終わる。