※「シビル・ウォー」を見て、3日ほど前に途中まで書いたまま置いていた記事です。これを公開している今の時点ではもう他の関連作品や「インフィニティ・ウォー」を観てしまいましたが、いったん当時の状態で公開します。
※9/20 ひとことだけ追記
最近でこそ女性ファンも増えましたが、アメコミヒーローって「コンサバな男の世界〜〜〜」って感じがして、倦厭してたんですよね…。「いい大人がヒーローもの?」っていう気持ちも、ちょっとあったと思います。
そんな私でも「シビル・ウォー」を見てからアベンジャーズの虜になり、アマゾンプライムやhuluでシリーズ作品を検索しまくるもあまり上がってなくて苦々しい思いをするぐらいにはマーベルに落ちてしまいました。いえ、堕ちてしまいました。
コアなファンの方からしたら笑っちゃうくらい序の口な知識しかないと思うのですが、入門者の戯言と思って流していただければ幸いです…。
MARVELの前知識
こんな私でも、ふつうに暮らしてりゃアメコミヒーロー作品にも多少なり接する機会はあるわけです。「シビル・ウォー」に出会う以前にも以下の作品は観たことがありました。
・「スパイダーマン」
当時のティーンエイジャーの例に漏れず観に行って、しっかり楽しんだしUSJアトラクションも1日で3回乗ったものの「2」「3」には続かず。「アメイジング〜」以降が出てきてからはもう全く意味がわかっていない。
・「アントマン」
設定がかわいいし観てて楽しかったけど、シリーズキャラとの絡みのシーンが「誰? ファンへのサービスタイム? はいはいどうせ私は一見さんですよ」と卑屈全開で心を閉ざす。
・「アイアンマン」
口を開けば嫌味ばっかりの金持ちオジ様に共感できない。
・「アベンジャーズ」
主人公多すぎ&世界観がごっちゃすぎてもうなんだかよくわからない。スカウター的なやつで強さ数値化しといてほしい。そしてその上で上位2〜3人だけでもうよくないかって思う。
これくらいでしょうか。それ以外でも、人が DVD見てるのを横で眺めてた…くらいのことはあったと思いますが、ちゃんと記憶してません。
今となっては我ながら、なんと身勝手な「つまみ食い嫌い」をしていたのかと思います。(でもヒューマンドラマ好きとかヨーロッパ映画好きな方にはこの感覚をわかっていただけるのではないか…と……!)
MARVELに対する勝手なアレルギー
- 単純に原色が好きじゃない
- 「正義のヒーロー」って言葉が、善悪二元論ぽくて苦手
- 街を壊しながら戦うのが観てられない
- 敵をぶっ飛ばした先にビルがあって、そのビルにもし自分の家族がいたら、それでも「街を救ってくれてありがとう」って思える…? 無理じゃない…? もちろんそうじゃなくてもどうせ敵に殺されてたっていうのもわかるよ、わかるけど、そんな風に割り切れなくない? って考え出すとアクションシーンに集中できない
- 人類のため、市民のために命を投げ打って戦ってるというのは頭ではわかってるのに、なぜか心では受け入れられない、これってなんなんだろう…
- …わかった。私、筋肉嫌いなんだ。
- 好みと真逆のタイプのマッチョが皮肉を吐いたり暴れまわったりするのを2時間眺めてもそりゃ楽しいわけねーわな。
そんな「アンチ・筋肉」が「シビル・ウォー」をなぜか観てしまった
そもそもは、アマゾンプライムで配信されている「ビッグバン★セオリー」という海外ドラマにはまりまして。
主人公のオタク4人組がよくアメコミの話をするので「そういえば一昨年もやってたなー…アントマンとかも出てるらしいな…」と半信半疑で観てみたのでした。
すると…あれ?
あれあれあれあれ?
なんかめっちゃ面白くない?
おっかしいなー、そんなはずでは…
いやでもこれは面白いやばいなにこれ惚れちゃった。
まず冒頭からして、スカーレット・ヨハンソンがかっこよすぎる
今までは「超人が集結するバトルの中で生身の人間がいるって、無理があるでしょww」と侮っていた「ブラック・ウィドウ」が、映画冒頭からハンパない体技を見せつけるのに目が釘付け。
まさに、瞬きができない… どんだけ鍛えてたらこんなかっこいいアクションができるんだ…。
そう… 彼女の戦闘シーンに代表される通り、「シビル・ウォー」は私のような先入観ガチガチの初心者がすごく入りやすい作品だったのです。
「街壊しすぎ問題」から話が始まる
私が今まで気になって気になって仕方がなかった「地球を救ってるのはいいけどその陰で亡くなっている人も」というのがやっぱりあの世界でも問題になっていたのです。
しかもそれを民間の団体…イチ個人たちの判断でやっているというのは良くないので、アベンジャーズは国連監視下に置いて、出動命令が出てから戦闘するようにしましょうね、という話に。
それについて、アベンジャーズのメンバーの中で
「確かに、勝手な戦闘活動は正当化できないよね」派と、
「でも緊急時に出動命令なんぞ待ってられるかい」派に別れ、
そこに友人関係やら悲しい過去やらが絡んで、アベンジャーズ内で仲間割れする、というのが今回のお話。
なので、正義を振りかざして住人に被害を…というシーンは最小限。市街地での戦闘シーンも基本はテロ的な人を取り押える人間同士のバトルなので、ドカバカ街を破壊するということもありません。
一番の見せ場であるアベンジャーズ大集合の大乱闘シーンも、封鎖して誰もいない空港で行われるので民間人は一切巻き込まない。まぁそりゃあれこれ重機を壊されて修理する人の身にもなれとは言われるかもしれませんが、そこはスタークおじさんがお金の力で解決してくれるとして…。
あとバトルの基本が「仲間割れ」なので、考えが違う相手を止めようとしているだけで殺したり根絶やしにしようとしているわけではない。
とにかく人命に関わらない。それが何よりストレスフリー。
地に足のついたバトル
この作品ではたまたまかわかりませんが「ハルク」「ソー」という戦闘力異常値の2人(私からしたらもはやチート)が登場しません。なんか行方不明になってるっぽい。
巨大な敵や宇宙船が登場するわけでもなく、兵士の大群と戦争状態になることもない。
なので概ね同じくらいの戦闘力の、比較的「人間」らしい、地に足のついた少人数バトルが楽しめます。
それぞれの武器や能力がバトルの中でどう発揮されるのかがじっくり見れるし、能力のバリエーションも十人十色で観ていて楽しい。
もともと「アベンジャーズ」に興味がなかった身としては、予告編で「あのアベンジャーズが仲間割れ」って言われても、そもそも興味ない人たちの内輪揉めとかますますどうでもいい…って感じだったのですが、こういう超能力を活かしたバトルは「X-MEN」で既に好きになていたので、本作のバトルシーンはまさに大好物でした。
過去の設定とかシリーズの流れとかそっちのけで、とにかく「もっと彼らのバトルが見たい!!」と思った。
やっと「大人」なキャラが出てきた…!!
「アベンジャーズ」シリーズを観ていると、どうも直情型のヒーローが多かった気がするんです…無鉄砲で向こう見ずで、危険を顧みず突っ込んでいって、あとで周囲から「まったくもう…誰が尻を拭くと思ってるの…」と呆れられるような…。
すぐ口喧嘩する「アイアンマン」とか、なんかずっと怒ってる「ハルク」とか、星条旗まといすぎて見た目からして気持ちに一直線な「キャプテン・アメリカ」とか…。
「ブラック・ウィドウ」などの人間勢は冷静なお目付役だったのかもしれませんが、どうも戦闘力の面で超人たちを食い止められると思えない。
そこに現れたのが、ブラックパンサー様。
なんと、まさにアベンジャーズのドタバタバトルで大きな被害を受けた国の王子様だというではないですか。
しかしこの人、めっちゃ強い。
ほんで、めっちゃ人間できてる。
過去の作品でのバトルのみならず、今回の騒動でも家族や国民を失うのですが、復讐心で闇雲に人を傷つけるのではなく冷静に相手を判断します。
王子様らしい高貴な感じもまた素敵。
キャプテン・アメリカに「陛下 (Your Highness)」って呼ばれるところとかもうやられます。陛下!!!
まぁ国ほったらかしてアメリカでワチャワチャやってるのは良き国王とは言えないかもしれませんが、それは一旦置いておくとして、ですよ。
この方の治める国はジャングルの奥地にあるのですがすごい科学技術があるらしく、この「ブラック・パンサー」スーツはめっちゃ硬くてそんじょそこらの刃物や銃器は効かない代物で、そんだけの技術がありながら武器が「手の爪」というアナログさ…!!!
この方も「ブラック・ウィドウ」顔負けのすごい体術で敵をバッサバッサと引っ搔きます。これがなんともうかっこいいことか。
この作品で初登場だそうなのでシリーズを見てなくても彼の人となりはちゃんと説明されるし、感情移入出来ます。
そしてもう1人、私はこの人のこと知らなかったんですが、最近登場したというヴィジョンなる人造人間。
なんかもう見た目が「実写版アンパンマン」にしか見えないんですけど…(ごめんなさいごめんなさい)
これまためっちゃ強い。自分の体の分子をコントロールして壁をすり抜けられるし、めっちゃ硬くもなれる。
この人造人間、すごい知性を備えているそうで、とにかく誰よりも冷静。大人。あの子供みたいなおっさん達の中で、超おっとな。
それでいて、人造人間なりに人間社会で生活を送れるように日々努力していて、まだまだ常識やマナーがわかってないところがとってもお茶目でかわいいのです。
そもそも「人造人間が自分の存在を自問する」とか「人間としての感情の芽生えに戸惑う」とかの設定だけで白飯50杯食べれるので、もうヴィジョンが今後どんな風に人間化していくのかが楽しみで楽しみで仕方がありません……あぁ〜仲間を傷つけたことに苦悩するんだろうなぁ〜…愛情とか芽生えたりすんのかなぁ〜……。
逆に、純粋な若者達も出てきて良心が救われる…
戦闘マシーン達に囲まれる中、精神的にまだ成長過程で、人間らしさを担保してくれるのが超能力女子・ワンダ。
サイコキネシス&心を操るという強すぎる能力を持ってるのですが、清い心の持ち主で戦闘で人を傷つけることに葛藤します。
他のキャラクター達がなんの疑問もためらいもなく殴り合いで相手を黙らせようとする中、「自分の能力で一般人を巻き添えにしてしまった…」と思い悩む彼女の姿は見ていてとても安心する。「よかった、MARVELの人にも人の心があるんだね」って思った……。
この3人が随所で私の感情をガス抜きしてくれるおかげで、子供なおっさん達の行動も落ち着いて受け止められました。そうすると、案外それぞれちゃんとかっこよく見えてくるからアラ不思議。
そして。
なにより。
なんですか、この「スパイダーマン」
おかしいよ。
「スパイダーマン」って私の記憶では、わりとマンリーな印象の大学生だったでしょ。
誰、この子。
超かわいいじゃんよ。
Captain America: Civil War - ALL SPIDER-MAN SCENES [HQ] Queens,Airport Fight
いきなり憧れの有名人・スタークさんに勧誘されて舞い上がっちゃうところとか、バトル中も1人だけ無邪気なお年頃で大人達に呆れられるところとか、もうかわいくってかわいくってかわいくって………
あと他のキャラはだいたいがガチガチの強化スーツを着てたり肉体がスーパー強靭だったりする中で、スパイダーマンの彼だけ「強化されてるけど肉体は高校生」で力ではどうしても敵わなかったり、華麗な蜘蛛の糸芸を披露しながらも「ふっ」「ふぬっ」「うんっ」と声が漏れちゃうところがこれまたなんともかわいい…。
もう、このトム・ホランドくん版「スパイダーマン」と「ブラック・パンサー」「ヴィジョン」「ワンダ」のためなら、ちゃんとMARVELを愛することにします。過去作もちゃんと見ます。
魅力的なキャラクター以外にも、単純な「観やすさ」でも今作はオススメ。
単純に画面が明るい。
アクション映画って、ものによっては「戦ってるのが夜」とか「秘密の暗いアジトで密談してる」とか、なんかず〜っと暗いな〜…ってのもあると思うんです。ワクワクしたくてアクション映画見てるのに、暗くてぼそぼそ喋ってると楽しくない。
今回はほとんどが昼間の明るいシーンだし、みんな元気に動き回ってくれるので飽きません。
かといっておちゃらけではなく、それぞれの葛藤とか心情とかも見えて、胸が痛むシーンもあり、面白さ・シリアスさ・切なさのバランスがいい。
過去作を見てなくてもついていける
これ大事。
説明事項はだいたいが初登場のキャラの紹介なので、予備知識の差が出ません。
今回の仲間割れの主要因でもある「バッキー」は「誰なん? なんでここまで肩入れすんの?」とは思いましたが、まぁ「古い友達だから」と言われればわからなくもないかな…って感じでそこまで引っかかりませんでした。
強いて言うなら、前述の少女「ワンダ」とか「ヴィジョン」は直近の作品からの展開を引っ張ってる感じがするので「なんか事情があるんだろうな〜」と匂いはしますが、今回の話の本筋とは関係ないし大丈夫。
要するにMARVELシリーズって「あ、このシーンはきっとシリーズファンだったら大喜びするからって理由で、今回の話の筋には関係ないのに挟み込まれてるな」ってところで置いてきぼりを食らうので、それがないのが良かったです。「私みたいな初心者でも歓迎してもらえてる」って思えるのは、単純にイチ視聴者として嬉しい。
いつの間にか全員好きになれた、スタークおじさん以外
あんなにアンチ・筋肉だった私でも、キャプテン・アメリカの胸筋にものを言わせる感じとかも、なんか見てるとだんだんかっこいい気がしてきました。
あとサブキャラだと思って注目してなかった黒っぽいスーツの人たちも、常識人で頼りになるなる。
まだスタークおじさんがなぜあんなに贔屓にされているかわからないのと、ホークアイは地味だしあんまりですが、とにかくトム・ホランドくん略してトムホ a.k.a. スパイダーマンが相当良かったので、アベンジャーズ系列はいったん黙って観ることにします。私が「a.k.a.」なんてチャラけた言葉をふざけて使うことなど一生ないと思ってたのでこれは一生に一度の出会いだったのだと言わざるを得ません。
あともう一つ忘れていました。(9/20追記)
クレジットの出し方がちょーーかっこいい
映画でよく、場所とか時代とかの舞台設定を文字で入れますよね。そのクレジットのセンスが、この作品は超絶かっこいいんです。観てくださいこれ。
誰がこんなん思いついたの?
普通は気持ち程度にちっちゃく入れるんだけど、ドーンと入れちゃうことで一枚の画としての完成度がぐっと上がる。これ考えたスタッフの方を称えたい気持ちでいっぱいです。
(でもこれ、勝ちパターンとして定着したわけでもなく、それ以降の作品は普通のちっちゃいクレジットに変わってました…残念…)
これを初めて見たときの衝撃を味わいてくて、何度でもまた観てしまう…。
アベンジャーズファンの皆様、ここにまた1人、そちらの世界へ足を踏み入れた者がおります。どうぞお手柔らかにお願いいたします。
かつての私のように敬遠していた皆様、まずは「シビル・ウォー」から試してみてはいかがでしょうか。MARVELの「どうかな」と思ってたところは全部ないですご安心ください。
悔しいのが、つい数日前まで配信していたhuluで「シビル・ウォー」が配信終了になってしまったことです…。
※追記
この新参者が「シビル・ウォー」を観た5日後、誓約の通り「インフィニティ・ウォー」をなんの疑問もなく観に行った結果どうなるかは、ご覧になった皆様であればお察しいただけるかと存じます……
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— 旅するトナカイ*関西コミティア53:E-25 (@fusakonomanga) 2018年6月6日
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「アベンジャーズ インフィニティウォー」の感想
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