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誠に勝手ながらデスキャブ・ベンさまのラジオインタビューをまとめさせていただく #4

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Death Cab for Cutieのニューアルバムが、8月に出るぞぉぉーーーッ!!!


Death Cab for Cutie - Your Hurricane (Teaser)

 

このインタビューまとめが報われる時がきました。

8月に向けては熱意を上げていこうと思います。

 

 

  

 

そんなわけで、Death Cab For Cutieのギターボーカル、ベンさまことベン・ギバードPodcastインタビュー和訳、第4弾です。 

(第1弾はこちら)

www.fusakonoblog.com

 

今までの記事ではベンさまの冴えないぽっちゃりメガネ期の映像をご紹介してきたので、そろそろかっこよく変身し始めるベンさまをご覧いただいてもいいでしょう…。

こちらは2011年のPV。シュッと痩せて、メガネが取れています。こうなるといかに骨格イケメンかがわかります。あとは髪型だけだ!!!

www.youtube.com

 

ベンさまがPodcastのコメディアン、ピート・ホルムズの番組に出演され、こちらに公開されています↓ 

You Made It Weird #402: Ben Gibbard | Nerdist

 これをガシガシ和訳していこうというのがこの連載の趣旨でございます。

 

まとめをお読みになる前に、注意事項です:

・ただのファンが、ただただベンさまへの愛だけで誰にも断りなく勝手にやってます。

・ラジオ音源はネットで無料公開されてるので違法行為にはならないと思うのですが、偉い人から怒られたらすぐに消します。社会的に抹殺されたくない。

・一言一句の書き起こしはさすがにしんどいので、つまみつまみでトピックごとにまとめます。全文くまなく読みたい!という方はしかるべきところに発注してください。

・とか言いながら、愛が止まらずキュッとまとめられません。長文でごめんなさい。

・日本語として違和感なく読めるものを目指そうと思います。直訳ではなく、かなりの意訳になってますのでご了承ください。

・そこまで英語に自信があるわけではないので、ベンさまが本当にこんなことを言ってるのか信じるも信じないもあなた次第な感じでお願いします。番組を聞いた方で「ここは違うよ」とお気付きの方がいらっしゃいましたら、コメントください。

・繰り返しますが、ベンさまへの愛だけでやってますんで、それだけほんとご理解ください。

 

 

第4弾です。作詞作曲、そしてライブでの心がけについて。

個人的にここのパートの話がいちばん好きです。

以下、緑字がベンさまです。

 

#4 作詞作曲は、自信と初心

(0:54〜1:15)

 

ー 作曲は1人でやるのが好き

 ピート:曲をどうやって作ってるのか教えてよ。曲は自分が書くんだよね。

 

ベン:最初のアルバムは僕が書いてアレンジもほとんどはしたかな。もちろん、曲にもよるけど。

 

ピート:曲作りって、バンドでツアーに行ったりする合間に日常の騒々しさを離れて、静かなところで自分の内側にこもって、できてから周りに見せるって感じ? それともバンドでセッションしながら作る?

 

ベン:なんていうか…僕には「みんなで一緒に曲を作る」っていうのが向いてなくて、もう長年それはやってないんだ。一緒に演奏することで互いに影響しあうっていうのはもちろんあるけど、みんなでスタジオに入って「なんか持ってきた?」みたいなやり方は僕の場合は本ッ当にダメで。部屋に大勢の人が集まって、アンプがひしめき合ってるような環境では集中できないし、曲なんか作れない。

初期の頃…まだ探り探りでやってたような時期ですら、僕は自分がやりたいことは何かって意識してたし、曲の構成も頭に入ってた。当時から、延々と曲を3時間演奏し続けてギターのデイヴがそれに合うものを見つけるのをひたすら待つ…なんてことはできなかった。

だから、ギターとボーカルをトラックに入れて流しといて、自分は演奏せずに聴くことに徹する方がいいんだ。弾きながら歌いながら、さらに聴くっていうのは自分には難しくて。

つまり質問に答えるなら、曲のおおむねの骨格と、大まかな肉付けは僕が考えてるかな。

 

ピート:なるほどね。僕は高校の時に「自分で曲を書くフロントマン」が好きだったんだよね。

 

ベン:なるほどね、その気持ちはわかる気はするよ。でも例えば、僕が好きなバンドの一つがデペッシュ・モードで、あのバンドはマーティン・ゴアが作詞作曲してボーカルは別にいるけど、僕はそれが気になったことはないかな。


Depeche Mode - Everything Counts (Remastered Video)

 

ピート:オアシスなんかもそうだね。僕はリアムをバカにしてたんだ(笑)、ノエルが作った曲を歌ってるだけじゃん、って。

www.sonymusic.co.jp

 

ベン:でも僕はリアムも好きなんだよね(笑)。彼ってすっごい面白い。2人ともいいよ。

 

ピート:今はもう違うけど、高校の時にはトガってたから「自分で作って自分で歌えよな、でないと心が込もらないじゃん。兄弟に歌わせるなよ」と思ってたんだ。もう違うけどね。

話を戻すと、作曲はベンが1人でこもって、そのあとメンバーが集まることで曲が思ってもみなかった方向に進化するってことはあるのかな。

 

ベン:もちろんあるよ。サウンドは外部環境に左右されるから。僕が全部やってるなんて思ってはほしくない。

ただ、もちろんメンバーの影響はあるしクリスがプロデュースもしてるけど、一方でいつも「自分がいい曲を書けばいいアルバムができるし、自分の曲がいまいちならいまいちなアルバムになる」って思うようにもしてるんだ。いくらギターラインやベースラインが加わったって、もともとダメな曲をいい曲にまですることはできないから。その立場とか責任感を楽しんでるよ。

僕は曲を書くのが楽しいんだよね。だから、一連のツアーとかプロモーションがひと段落した時に、僕はこれといって「へぇー、みんなはバカンスに行って家族サービスかぁー、いいねぇー僕はその間も曲作りだなぁー」なんて嫌味なことは思ったりしない(笑)

 

ピート:(笑) アイデアを思いついて、表現に落とし込むのって気持ちいいよね。僕もコメディで同じことをしてるからわかるよ。

 

ベン:そうなんだよ。1人で創作活動をしてて、いいものができて早く人にも聞いてほしい!って思うことって、やっぱり美しい瞬間だよ。きっと僕ら2人とも追い求めてることだと思うけど。

日課としてスタジオに入って作曲して、いいものが出来た日なんかはスタジオを出る時はすごく気持ちよくて、誇らしい気持ちになる。その充実感は、日常の何にも邪魔されないんだ。

 

ピート:そういう満足感を持ててる時って全能感があるよね。創作でいいものが作れて満足すると、すべてのことがよくなる。

 

ー 僕の歌は、誰にでも愛されるわけじゃない

ピート:話を戻して、デスキャブを始めてから周りがお世辞じゃなく「本当にいいよ」って反応に変わった時って、生活とか人間関係とか、何がそこに影響してたと思う?

 

ベン:うーん。たぶん誰もが経験するような普通のことだと思うよ。例えば二十歳の人が失恋して気持ちに変化があるとか(笑)

デスキャブをやる前のバンドでは、音楽の系統を決めるでもなくあれこれテープに吹き込んでたんだけど、ある時スイッチが入った瞬間があるんだ。電球が灯ったみたいな感じ。「ギターをこうしてベースをこうしよう」って。そこに、こんな歌をつけたい、って花開いたんだ。

 

ピート:冒頭の話にも通じるけど「ステキな歌詞を書こう」って思えたのはいつ? それって、人によって「自分にはできっこない」って人と「ステキなもの書くぞ」って思える人といると思うんだ。

君は、最初の比喩でいうと「棚のお皿」を割るだけの素晴らしい歌を書くじゃない。そもそも、自分が人と比べて…特定の誰かと比べたくはないけど…とにかく自分がミュージシャンである以上に優れた「作詞家」であるということを自覚してる?

 

ベン:歌詞にはプライドを持ってるし、自分は作詞家だという自負はあるよ。詩人だとは言わないけどね、作詞家は詩人ではないし、その逆も違うだから。詩は構成が自由だけど、作詞は曲の構成を前提としてる。音楽版の俳句みたいなもので、縛りがある。

何年か前に僕を批評した人がいて、その人曰く、僕の歌を評価してくれる人が好きなポイントと、嫌いな人が嫌うポイントは同じなんだって。歌詞のスタイルとか、儚さとか精神性とか。

僕の歌詞の儚さに共感する人は、その人の中にある儚さを僕の歌詞に見てる。決して、僕の歌詞が嫌いな人=精神的に未熟だと言ってるわけじゃないよ。単に万人に愛されるものなんてないってだけで、僕の音楽だろうとRed House Paintersだろうと。


Red House Painters - "Between Days"

 

ある時からはフラットに「いろんなタイプの音楽が世の中にはあって、僕の曲を好きな人も嫌いな人もいる。万人が好きな音楽なんてない。僕の曲にも共感する人が一定数いて、幸運にもその『一定数』が、これで食べていけるくらいのボリュームがあった」って思えるようになったね。

 

ピート:それだ。それこそ表現活動をする人が誰しも持っていないといけないマインドだね。

僕が子供の頃のエピソードで、家族でコメディのステージを見に行ったら、会場は大爆笑してるんだけど一人だけ笑ってないお客さんを見つけて、父親はその人に「完全に同意するけど、残念ながら俺らは少数派だ」って言ったんだって(笑)

僕のやってることを嫌いな人もいるのは当然なんだ。僕は若い頃、毎晩のように通ってた会場があって、コメディアンのデミトリが僕にとってのヒーローだったんだけど、あまり受けてない日があった。でも彼は「全員に好かれることはできないからね」って流してて、「そんな風に思えるんだ!」って衝撃だったよ。

でも君の曲に話を戻すと、君の歌は儚さが研ぎ澄まされた結果、人を傷つけるぐらい鋭利になってるんだよね(笑)柔らかすぎた結果、人の心に穴を開ける。

 

ベン:そう、僕らは「ソフト・ロック」だよロックにもいろんな区分があるけど、僕は完全にソフト・ロック方向だ。

 

ピート:(爆笑)でもソフト過ぎてもはや兵器。

 

ベン:僕はしょっちゅう街で「あなた、デスキャブの人ですよね。僕の妻がファンなんです」「僕の彼女がファンで」「妹が好きで」って言われるんだ。そういうのの全パターンを言われてきた。

ライブでも、お客さんの中にカップルがいて、どう見ても彼女が誘った側で彼氏は完全に僕らを嫌いだっていうのが、よくあるんだよ。

ある時、ライブの最前列にカップルがいて、着席の会場でもみんな立って揺れながら楽しんでたんだけど、その彼氏の方は座ったままずーっと僕を睨みつけてる。当時はまだ28歳くらいで未熟だったから、どうしてもこの彼氏が気になって仕方なかったんだ。あとの2000人はライブを楽しんでるのに、この彼氏の向こう側が見えない。「何がそんなにダメなの?」ってことに意識が集中しちゃって。

それから時が過ぎて少しは成長したから、楽しんでくれてる人のことを考えればいい、って思えるようになったね。今は時代が変わったかもしれないけど、でもかつては前売りチケットを買って冷蔵庫に貼っておいて、ライブの日が近づくほど楽しみになっていって「ライブの前はどうする?ライブ後にご飯食べる?」とかを相談して…っていうのを、大勢の人がしてるんだ、って思うようにしてる。

僕も不完全な人間だから時にはダメなライブをして反省することもあるけど、でも僕は大前提として音楽好きで、一人の客としてそういう気持ちでライブに行ってたんだし、今でもしているから。Billy Braggのチケットを取ってワクワクしてた若い頃の気持ちを常に忘れないようにしてる、一人の演奏家としてね。

あるミュージシャンが「いつだって、誰かの"華金"だ」って言ってたんだ。それが何曜日のどこだろうと、誰かにとっては"華金"で、誰かが楽しみにしてる。それを16年前くらいに言われてからは、意識するようにしてるね。

 

ピート:そうだね。特にショーの出演をキャンセルした時なんかは、そのショーが誰かにとってはいかに意味があるものだったかを痛感するよね。ツイッターを見ると「わざわざ飛行機できたのに」とか書いてある。

 

ベン:20年やってきて出演キャンセルしたことって、片手では足りないくらいやってしまったけど、不測の事態はどうしたってあるんだよね。体調を崩したり、声が出なかったり、どうしようもない時。怒るのも不満なのもわかるんだけど、不幸なこともあるんだよね。

 

 

ー 自分を奮い立たせるのは、オープニング・アクト

ピート:ツアーを何日もやってるとしんどくなる時ってあると思うけど、どうやって「こんなことができるなんて恵まれてるんだ」って思い出すの?

 

ベン:いろいろあるけど、僕の場合は、ライブには必ずオープニング・アクトのバンドを呼ぶんだ。自分が好きで、信じてるバンドを。なるべくオープニング・アクトのバンドは会場で見るようにしてる。Chastitiy Beltが個人的に好きだし純粋にライブを見てみたい!って時もあるけど、そうじゃなくても、どんなバンドでもね。

www.youtube.com

 

特に、若くてまだまだこれからだってバンドは「自分は恵まれてるんだから、しっかりやらなくちゃ」ってことを思い出させてくれる。

彼らの姿は自分が通ってきた道でもあると同時に、自分の時とは比べものにならないと思うんだ。彼らに「僕らも15年前はワゴンでツアーしたなぁ〜」なんて先輩ヅラしちゃいけない、彼らは彼らだけの経験をしてるんだから。

 

ピート:時代も変わったしね。同じようにはいかない。

 

ベン:そう。僕はそういう若手のバンドを見て、自分にエンジンをかけてる。彼らは、僕らよりもずっと難しいことをしてるはずなんだから。大勢のお客さんの前でライブしなきゃいけなくて、しかもそのお客さんのほとんどが自分のことは知らないし、彼らはみんな僕らを待ってるんだし。でも彼らが素晴らしい演奏をしてると、もれなく全員に受けるってことはもちろんなくても、客席の何人かのテンションが上がっていってるのが見ててわかる。

一方、僕らの場合は、お客さん全員が僕らを見に来てる…彼女に連れてこられたあの彼氏以外はね(笑) 僕らはただ自分の曲を演奏するだけでみんな喜んでくれる…当然それ以上を目指さなきゃいけないにしても、基本的には、普通にやれればお客さんは満足して帰っていく。

そういうことを思い返すと、僕らはここまで来たんだと思うと同時に、彼らに比べていかに楽なことしかしてなか、って思う。若手の彼らは、僕らよりも断然大変な思いをしてるんだから。僕らはただ朝起きてライブすればいいだけで、自分で運転するわけでもなければ、プロモーションの実働をしているわけでもない。

 

ピート:僕も、今ではただステージに出てネタをすればいいんだって思う。自分のどこがいいかを探るようなのは、もうやらなくていい。一日中、ショーに向けて思い悩むこともなくなったね。

 

ベン:そう、お客さんに「自分はすごいんだぞ」って見せるために頑張らなくていいんだよね。みんなピート・ホルムズを見に来たお客さんだから。

 

 

ー 第4弾、以上 ー

 

 

和訳ひとことメモ

今回の文章で「儚さ」と訳している英単語は、

vulnerability = 脆弱性

という言葉です。脆さ、弱さという意味ですが、今回はベンさまの歌に感じる「儚い」という日本語を当ててみました。

儚い、切ない、ほっこり…などの「わびさび言葉」って「英語ではなんて言うんだろう?」と思うことが多いので、ひとつ引き出しが増えました。

 

 

さて、次回はいよいよ…離婚話に斬り込みますよ…。

ゲスいゴシップ調じゃなく、離婚を経験した2人だからこそ語れる「結婚」についての深い見識をお楽しみに! 

 

 

元ネタのPodcast、リンク再掲↓

You Made It Weird #402: Ben Gibbard | Nerdist 

 

冒頭にご紹介した "You Are A Tourist" が入っているのはアルバム"Codes & Keys"、グラミー賞にもノミネートされたアルバムです。

 

 

 

第5弾はこちら 

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