映画『望み』が劇場公開するということで、雫井脩介の原作小説を読んでみました。
感想マンガ(5ページ)
「どっちの結末でもバッドエンド」という地獄の二択で、なかなか本を閉じれないドキドキ体験でした。
まぁ正直いろいろなことを想定すると「結末はこうだろうな」とある程度の予想はつくのですが(ネタバレになるので詳しくは下の方に書きます)、それでもこの作者がこんな重苦しい設定にどう決着をつけてくれるのか、という好奇心でページを捲る手が止まりません。
けっこう映画のプロモーションにも力を入れているようで、主題歌の森山直太朗の曲はよくラジオで流れますし(流れるたびに寝そうになる)、FM大阪では試写を見てきた出演者みなさんが内容紹介していました。
なにを隠そう私はモンスターエンジンの西森さんがめっちゃ好きなんですけど、モンスターエンジンのお二人ともに主人公と同じく息子・娘がいらっしゃるので、親の目線での感想を紹介してくれました。「加害者でも生きていて欲しい派」「被害者でも殺しててほしくない派」分かれるのは興味深かったです。
ちなみに本を読んだ後に映画も見たんですが、個人的には映画館の空間で見なきゃいけない作品でもないかなって感じです。
妹役の清原果耶はやっぱり良かったですよ。二番目っ子らしい「ちゃっかりもので人に対してドライな妹(私も大いに身に覚えがある)」という役どころなのですが、小説版よりも兄と妹の関係性がよりドラマチックになっていて、そこは泣いちゃいました…。
以上、ネタバレなしの紹介でした。
以下、結末のネタバレです。
さっそく結論から言うと、息子は被害者=殺されていて遺体で発見された、というラストなんですね。
友人たちとどういうイザコザがあって死んでしまったのか、その経緯は複雑なので省きますけど、こと「始まりと終わりのある作品」として読んで(観て)いくと「まぁそうよね」という気はしてきます。
もし息子が加害者だとしたら、世間からの激しいバッシング、父・母・妹それぞれの心境の変化、壊れた家族の関係をどう修復するのか…などなど「後日談」に課題山積でそっちが盛り上がってしまうはずなので、とても「エンディング」の尺では描ききれない。息子が被害者=殺された、ということなら、家族の悲しみと、どう日常に戻っていくのか…というしめやかな幕引きができます。
なので読者としては「あと残り何ページだぞ」という時点で「あーこれは被害者だな」とは分かるのですけど、それはそれで、父・母・妹はそれぞれどんな反応をするのか…殺していなかったことにホッとするのか、信じてあげられなかったことを後悔するのか、犯人に対して怒り狂うのか…その感情の動きがどう振れるのか気になって、ラストが待ち遠しくなります。
そう、この作品の見どころは人間の感情の機微。
映画の宣伝ではわかりやすく「被害者派の父、加害者派の母」という紹介でしたが、実際には、それぞれの気持ちは「この情報を聞いたら加害者に思えてくる」「この事実を知ると被害者な気がしてくる」と揺れ動きます。
父・母はそれぞれに考えは違えども、どちらもとてもまともで常識人です。設定が設定だけに、どちらかがエキセントリックな性格だったりヒステリックになられると読むのもしんどいんですけど、冷静に状況を整理しながら、人間らしい不安と葛藤したり、こういう特殊な状況ならではの突発的な大胆な行動に出たりするのが、それが「自分もこういう状況ならこうなったかも」といちいち共感できてしまう。
この作者さんの作品を読むのは初めてですが、心情の描き方にとても好感が持てました。
(ゆえに尚更、心情描写には不利な「映画」よりも小説の方が私は良かったな…という感想です。)
以上、個人的な感想でした。
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— トナカイフサコ / 旅するトナカイ (@fusakonomanga) 2020年9月20日
嬉しい😭
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