やっぱり、そうでしたわ。
期待を裏切らない、無理っぷり。
オープニングからエンディングまで、ずーっと「どっしぇーーー」でした。
暇な3連休があってよかった。暇じゃなければ3時間をこの映画に費やすことができなかった。
思えば『アフター・クエイク』の予告編を劇場で見たのがきっかけだった。学生時代に「村上春樹の作品を私は受け付けない」と烙印を押して以来ひとつも読んでないのだが、どこかの誰かが「3.11以降の村上春樹作品はひと味違う」と言っていたのでもしかしたら仲直りすることができるのかもしれないとアマプラで『ドライブ・マイ・カー』を見てみたら、これだ。
テーマは嫌いじゃない。
「自分の人生のままならなさ、自分でコントロールできない・ハンドルを握れない不安さ」というのを「自分のこだわりの車を他人に運転させる」ということに重ねたのは面白いメタファーだと思うし、多言語の演劇を通してそれを表現する試みも面白い。
でもさ。
主人公、ヤバすぎるだろ!!!
友達いなさすぎるだろ!!
外界に対して怯えすぎだろ!!!
浮気する妻も、奔放な若手俳優も、どいつもこいつも「自分は信頼してるのに、相手は自分を裏切ってくる…自分を傷つけてくる…理解できない存在…魔性…」ってビビりすぎだろ!!
そんで信頼のおけるしっかりしたシゴデキたち、こっちと仲良くなって友達になればいいのに、ただただ敬服するばかりって自分に自信なさすぎだろ!!!
自分を傷つけてくる危なっかしい人とは距離を置いて、自分がリラックスできるしっかりした人と交流すればいいのに、なんでその逆ばっかりするの!!
スキャンダルの危うさがある俳優はまず落とせよ!妻との距離感がなんか怪しいなー…って時点で、相手がどんなにアピールしてきてもはねのけろよ!!
自分から危機意識ゼロでややこしい事態を招き入れておいて、トラブルが起こったらしっかり傷つくの、メンヘラか!!!!
そんで傷ついても普段から人との交流がないゆえに相談できる友達もおらず、あまつさえ自分に大迷惑をかけたはずの若手俳優になぜか説教される(あたまおかしいだろ!!!!なんで自分が迷惑かけた大ベテランの車の中で偉そうに説教できるんだよ!!!)、最終的に自分を癒してくれるのは自分の娘の年齢の女の子のハグ!!!
キャバクラだろ!!!
キャバクラやガールズバーに行って、家庭環境の悪い脛に傷のある若い女の子にしか自己開示できず、その子たちが社会的に立場が上の相手に対してふりまくお愛想によって傷を癒してるおっさんだろ!!!
キャバクラ通いしてるおっさんの哀愁をなんで3時間かけて見なあかんねん!!!
いや、キャバクラ通いしてるおっさんの映画ならむしろ見るわ。
キャバクラに行く潔さもなく、スノッブむんむんで潔癖ぶっておいて、仕事上で知り合った立場の弱い女性スタッフと遠距離ドライブ旅行にいってハグされて癒されてるのキモすぎるだろ!!!
最後に譲った車は口止め料かって!!!!!
仮にそこに、真の人間同士の心の交流があったとしても!ダメなの!
自分が社会的に立場が上で、相手に配慮されるポジションにいて、相手は自分の気分次第で職を失うかもしれないという関係性である時点で、純粋な人間同士の魂の交流があると、上の人間は思っちゃダメなの!!!
「これこそが真実の友情(愛情)かもしれない」と思うその期待が、パワハラやセクハラのもとなの!!!
「僕たちはほんとうに心が繋がっているね、でも立場上、これ以上きみを巻き込むわけにはいかないね」って離れていくのが大人の責任なの!!!!
だから同年代の同じくらいの地位の友達をつくっておかなきゃいけないの!!!!!
岡田将生に対してもそう!!
あいつぁアタオカだから擦り寄ってくるよ、自分に関わることで妻との浮気関係が特別なものだったと思い込みたいヤバ間男なんだから!
でもそういう若い男も、うまいことかわすなり怒鳴りつけるなりNGを出すなり、とにかく距離を取らなきゃいけないの!
若い子が寄ってきても、それは不健全なナニカだからと距離を保たないといけないの!!
自分が悪者になりたくないがために、客観的で冷静な大人の男ぶりたいがために、危険因子を自分の周りに配置しすぎだろ!!気付け!!!!
若い女の子に「仕事ですから」と言わせるのもキモい。
若いのに趣味が良く、職業倫理があり、自分の無理難題も「仕事ですから」と職人気質を見せる、しかし家庭環境に難があるという点で自分の自尊心を脅かさない…「出自が悪いのによくできる奴じゃないか」と自分が上からジャッジできる女の子。
そして「今どきの若い子」が好む趣味はなく、「今どきの若い子」みたいに喋らないので、自分を萎縮させるようなことは絶対にしない。あの子がもし車の中で文庫本ではなくスマホを手にしていたら、きっともう自己開示はできない。
自分がちょっとのことで萎縮するから、1ミリたりとも自分を萎縮させる要素がない少女をミューズにするの、それこそ「人生ちょろすぎ」だろ!!!!
人生のままならなさ・思い通りにいかなさをテーマにするなら、この子をここまで都合の良い存在にするな!!!
結局のところ「世界は心の美しいオレを傷つけるけど、そんなオレにとって完璧な都合の良い女がいる」という着地点、せっかくの映画のメッセージが台無しだろ!!!!!
『PERFECT DAYS』と同じすぎるだろーーー!!!
若い頃はミューズの役柄が同世代の女性だったのに、年取って「娘世代」がミューズ役になるの、めちゃくちゃ恐怖なんですけどーーーー!!!!!
…はぁ。言いたいこと言えた。
あ、あと、あの独特の空気感についても「普通の人間はこんなこと言わんんん」「普通の人間はこのタイミングでこの話はせんんん」と心の中のノブがツッコミっぱなしだったので、これは私の好みの問題ですがアレが良いって人もいるのかな。
私の目には、登場人物が全員「なんだこいつ…怖すぎるんだが…」という危険信号鳴りっぱなしでした。ホラー映画なの?
こういう「自分は全く受け付けなかった映画」に出会ったら、映画.comのレビューで「評価の低い順」に読み漁るのがルーティンなのですが、しかし「私が言いたいことを言ってくれた!」と思えるレビューに出会えなかったのでこうして吐き出させていただきました。
この映画が好きな方々、すみませんでした。