旅するトナカイ

旅するトナカイの旅行マンガ ・ たまに短編小説 ・ 本と映画レビュー ・ 初心者社会学 ・ 日々考えること

入門社会学

『推し、燃ゆ』ー世間の「当たり前」で、しんどい思いをする人の物語

イマドキなSNS炎上話かと思ったらそうではない、嬉しい裏切りだった。 主人公は「推し活」に心血を注ぐ女子高校生。 うまく社会に溶け込めない彼女の、日々の生活や人生に対する切実さがヒリヒリと読者の肌を刺す。 勉強はうまくいかずアルバイトをしても要…

アマゾン熱帯雨林火災ーニュースの見出しで思いついたことが、本文を読んで崩れ去った

アマゾンの森林火災がニュースになっています。 なんと地球の酸素の20%を作るアマゾンの熱帯雨林で、火災が多発しているのだとか。 私がこのニュースを知ったのは日経新聞のツイート。 「国際的な危機だ」。地球上の酸素の20%が作られるというアマゾン熱帯雨…

【漫画】ぬまがさワタリさんのトークショーに行った話

「ゆかいないきもの図鑑」のぬまがさワタリさんのトークショー「いきもの映画大全」に行ってきました。 ぬまがささんの書籍はこちら ブログでは映画レビューも書かれています。 numagasa.hatenablog.com 以下、補足というか蛇足。映画のコンプライアンスにつ…

【書籍】自分を許すために - 「サラバ!」西加奈子

「魂の救済」ほど、書くことに意義のあるテーマはないと思う。 モノを書く人間として(というにはあまりにもアマチュアすぎておこがましいのだけど…)、これほど書きたいテーマはないし、書くことが難しいものもない。 それは「自分が生きることの意味」をそ…

震災という言霊について

先日、神戸のイベントについて記事を書きました。 www.fusakonoblog.com この件に関して、その後に知った情報もあるのでいろいろと追記したい気持ちもあるのですが、本筋が変わるものではないのでやめておきます。 あの後にも「震災」について考えることがあ…

#世界一のクリスマスツリー はなぜこんなにも残念なのか

「世界一のクリスマスツリーPROJECT」というものが、ネットを中心に批判を集めているようです。 www.excite.co.jp 私は今回話題になるまで、このプロジェクトについては全く知りませんでした。 もうすぐ本番を迎えるようですね。 あらかじめ私の立場を明らか…

東京2020について思うこと

ここ数日、話題になっているのが2020年 東京オリンピックについて。 木材の無償提供の募集が始まるのとともに、対戦中の日本の状況と重ねて「国が市民から搾取しようとしている」というような批判がよく目に入るようになった。 www.huffingtonpost.jp Twitte…

【雑記】スマホに殺される味覚と、オジサンの物思い

午前の用事を済ませて、家で昼食を食べるつもりが、入ったことのない讃岐うどんの店に出会ってしまった。 10年くらい前は讃岐うどんブームだったと思う。映画UDONが公開されたのは2006年。その前後で、関西にも讃岐うどんの店が次々現れた。店自体は前から存…

【映画】セッション ー 師匠との出会い、そして巣立ち

映画「セッション」をみました。 セッション(字幕版) 発売日: 2015/10/21 メディア: Amazonビデオ この商品を含むブログ (8件) を見る ドラマーの端くれとして見ておかねばならない作品。(と言っても割とながら見だったのですが。) 音大に通うドラマーの…

【社会学】思想のユートピアとしての本屋

ここ数日、某、反韓書籍が発売されたことがネット上で話題になっている。 先に明確にしておくと、私自身は、読んでもないけど「このタイトルは酷いな」と思っている。(どうやら、中身はそういう内容ではないらしいですね。) ただしネット上で「本屋はその…

【社会学】世界が内向的になっている気がする

あまり政治的なこと書くのって、ネットの熱めな人たちに熱めに詰められそうなので基本的には避けてるのですが、ツイッターとかよりも読者数の少ないブログの方が安心なのでひっそり書きます。 先に言っておきますが私は無宗教、支持政党なし、政治無関心層で…

小保方さんの「あの日」を読んで

世間を騒がせた…という言葉はよく聞くけど、私はむしろ「世間が騒いだ」という感覚が近い。 人は誰かと関わり合い支え合いながら生きている限り、世の中を変えるような功績をたった一人の人が成し遂げるなんてことは(その功績が大きいものであればあるほど…

【書籍】最近面白かった「社会」の本

「社会」のことを語る本を、ゆっくりとですがいくつか読んでいます。 この半期くらいで面白かったものをいくつかご紹介。 社会を変えるには (講談社現代新書) 作者: 小熊英二 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2012/08/17 メディア: 新書 購入: 8人 クリック…

【社会学#11】イイネ系民主主義

いち20代の若者とかろうじて分類される者として、やはり今の日本はヤバいと思う。文化にしろ、雇用にしろ、政治や外交にしろ、てんでばらばらの思惑が渦巻いて混沌としてると思う。戦争は嫌だと思う。何か変えていかないとそのうち立ち行かなくなる、という…

【社会学#9】結婚式の魔力

個人的なことだが、このところ周囲が結婚ラッシュである。 結婚とはなんとまぁけったいな制度である。 何億人という人の中からたった1人をこれと決めて、やれ婚姻だ挙式だと通過儀礼を積み重ね、また周囲も知り合いとはいえ赤の他人のごく個人的なライフイベ…

【社会学#7】女の生き方〜母・娘・祖母3世代の母親像〜

ずいぶん売れているようだったので読んでみた、「家族という病」。 家族という病 (幻冬舎新書) 作者: 下重暁子 出版社/メーカー: 幻冬舎 発売日: 2015/03/25 メディア: 新書 この商品を含むブログ (4件) を見る 先に個人的な感想を述べると、 ずいぶんと頭ご…

【社会学#6】音楽番組の終焉

今期から始まった音楽番組はネット上ではいまいちな評判。 フジ『水曜歌謡祭』7.3%大惨敗!! “ギャラ1本100万”森高千里の司会は「感情がない」netallica.yahoo.co.jp アーティストを育てない音楽番組は必要ない。 かつて音楽番組はアーティストたちの新曲発…

【社会学#5】ジャーナリズムの国家戦略

あまりリアルタイムに書くといろいろな気持ちになる人がいると思ったので、少し時間を置きました。 イスラム国による脅迫・殺害事件。 「イスラム国」事件における自己責任論と、個人を侵食する全体主義について 文/ 角幡唯介(ノンフィクション作家、探検家…

【社会学#4】小市民の復権

使っていたiPhoneが水没で故障した時、私は絶望的な思いで修理屋へ向かった。 結局そのiPhoneはもう息を吹き返すことはなく、 他人行儀な新しいiPhoneを持ち帰り、家のパソコンにつないだ途端 iCloudが全ての私のデータを復活させてくれて、そのiPhoneは外側…

【社会学#3】家は誰が守るべきか

今朝の「スッキリ」で、 「家事分担についての夫婦間の意識差」が取り上げられていた。 街の女性たちの言い分は ・手伝ってくれても、仕上がりに不満 ・頼めばやってくれるが、自発的にしてくれない など。 (後者については「頼まれればやるなら十分じゃない…

【社会学#2】人間の生きるみち

今日たまたま、facebookのシェアでこの知恵袋の話を見ました。 弱者を抹殺する。不謹慎な質問ですが、疑問に思ったのでお答え頂ければ... - Yahoo!知恵袋 質問者さんは「弱肉強食が自然界の摂理なら、弱者を守ろうとする人間界はおかしくないか」と。 ベスト…

【社会学#1】言論の自由

今年はちょっと社会学に力を入れよう、と思い、本を読んでいます。 たまたま書店で見かけた「面白くて眠れなくなる社会学」(橋爪大三郎、PHP出版)がたいへん面白く、またその時々の社会的な関心ごとに応用できる話ばかりなので、備忘録もかねて思うところ…