別の映画で予告編を見て、社会派っぽかったので。
「第9地区」の監督による、正統派SF映画。
人工知能が発達して、ロボットが人間と同じように感情を持ち、成長し、誰かを愛し、「生きたい」と望むようになったら?
「SFの王道」なんてものじゃない、もはやこれは新たな「SFの古典」。
<ロボットと人間の境界><意識の在処><魂と肉体>といったロボット系SFの永遠のテーマを、真正面から取り扱っている。
軽すぎず重すぎず、直球で観る人に問いを投げかけながらもさらりとした後味で解き放ってくれる、とても良心的な映画。
「よくあるSFだ」という人は、この映画は特に見なくていいと思う。
治安最悪国といわれるヨハネスブルク社会の残酷な描写があるのでPG-12になるのも分かるけれども、むしろこれはぜひ若い人たちに観てほしい。
過去に新鮮さをもって迎え入れられた「AI」「アンドリューNDR114」などに慣れてしまった私たちにはもはやありきたりかもしれないが、その後の変化球SFばかりに触れてきた少年少女たちに、技術革新が凄まじいいま改めて「ロボットとは何か、人間とは何か」「意識をもつ人間以外のモノをいたわる意味は何か」を問い直す意味は大きいと思う。
「チャッピー」は、人間にはなりえないのだろうか?
では主人公は、ここに登場する人間たちは、人間といえるだろうか?
私の当面の答えは、
「肉体を手放した時点で、人間ではない」
「ただし(人間とは別種の)生命ではある」
ということにしておく。
文中で引き合いに出した映画はこちら。
観たのはずいぶん前だけど、そこそこ切なくて心にしんみり染みる映画だった記憶。
救いがなさ過ぎて、生まれて初めて「もう二度と観たくない」と思った映画。