後厄・八方塞がりパリ・ベルリン・コペンハーゲン女ひとり旅
(前回はこちら)
今回も目次置いておきます。
8日目 水曜日 ベルリン
6:30 起床
朝食
8:00 出発、S-Bahnでポツダムへ
今日は電車で1時間ほどの「ポツダム」の町へ。まずは電車、トラムを乗り継いで「ツェツィリエンホーフ宮殿」に向かう。
ツェツィリエンホーフ宮殿
ドイツのポツダムにある宮殿。
日本ではポツダム会談が開かれた場所として有名。
工業大国・ドイツで電車に乗るっていいですね。
やっと「ドイツの森」に出会うことができた…美しい…。
森と湖があるレジャースポットを通る。森と湖を楽しむのが上手なのはフィンランドと通ずるものを感じる。
森の中を歩いてみたい…「ドイツは森」と言っていた小塩節先生、こういうことなんですね…!
30分でポツダム中央駅に到着。
ここからはトラムに乗り換え。
逆方向のトラムに乗りかける。走って正しいトラムヘ。瞬発的に走れたのは、連日長距離を歩いている効果だろうか。
ポツダムの街を車窓から見るのが楽しい。途中で『魔女の宅急便』みたいなパン屋さんを発見!
9:00 トラム下車、散歩
ツェツィリエンホーフ宮殿までは徒歩20分。10:00開館なので、早く着きすぎた。ゆっくり散歩。
高級住宅街。
街路樹の木がめちゃくちゃ高い。
鳥の声が美しい。
道中、KGBの刑務所跡地を通る。
その隣には公園がある。
ツェツィリエンホーフ宮殿はこの公園の中にあるらしい。
超贅沢なリゾート地って感じ。
パンを買ってきてここで食べたかった。
開演時間まで散歩。
10:00 ツェツィリエンホーフ宮殿へ
外のトイレを借りてから入る。
トイレ代 €0.50(¥82)
入場料 €12(¥1,977)
コインロッカーは硬貨を切らしていて使えず。リュックは前に抱えて待つように言われる。
オーディオガイドは、アプリをダウンロードして使用。日本語解説もある。
ガイドの解説を聞きながら回る。解説を音声ではなく文章で読むこともできて、よくできたアプリ。
ツェツィリーエ妃のために1917年に作られた宮殿だが第二次世界大戦中にソ連が占拠、ポツダム会談の会場としてソ連がホスト役となりイギリス・アメリカを招いた。
イギリス側の通訳の残した言葉。
我々はコンサートにおける演奏家のようなもので、その目的はその根底にある意味、基調を伝えることであると、我々通訳者は頻繁に言っていました。
つまり通訳者は、翻訳する機械ではないということです。
ー ヒュー・ルンギ
(帰国後も解説を読み直せるのもオーディオガイドアプリの良いところ。)
三国それぞれに控室・兼・執務室があてがわれ、それぞれデザインが異なるのが面白い。
ソ連の控室
イギリスの控室
アメリカの控室
最後にソ連の星が輝く庭へ。
ポツダムをソ連軍に占領され、故郷を追われたドイツ市民について解説するコーナーも。占領側は市民に暴虐の限りを尽くし、占領が解かれると今度は自国民が退却軍に同じことをする。ポツダムという街ひとつ取っても、戦争のさまざまな側面を語ることができる。
第二次世界大戦の年表のスタートが「日本が中国に攻撃」ということから始まっている。日本では戦争被害について多く語られるけど、海外からしたら「あんたが手ェ出したんやん」「ほんで最後まで往生際悪かったんやん」って感じなのかな。
館内トイレはタダなので行っておく。
10:50 出発
バスで戻る。603番バスは本数が少ない。
11:19発なので、バス停でしばらく待つ。
アプリ「Citymapper」ではこの路線は運休しているという表示だったけど、無事に来た。
来る時にトラムで通りかかったロシア領の公園が気になっていた。地図で見ると綺麗な放射状に整備されている。
かわいいフラワーガーデンになってるのかなーと思ったら、ただちょこちょこと木が植えられているだけで特に面白味はない。
公園の真ん中にあるロシア料理レストラン「アレクサンドロワカ」へ。
12:00開店なので30分ほど待つ。ベンチで読書。アンデルセン『絵のない絵本』読了。
12:00 ALEXANDROWKAでランチ
牛肉ごろっごろ! こんなに肉入ってていいの?ってくらいごろっごろ!!
英語は通じないけど店員さんはにこやかで良いお店。
チップ込み €20(¥3,295)
カード払いは€25〜だったので現金払い
13:00 トラムでパン屋さんへ
さっきの『魔女の宅急便』みたいなパン屋さんを目指す。
途中、ポツダム市役所が気になったので降りてみる。
これが市役所だと…。信じがたい…。
パン屋さん「Bäckerei Braune」へ。
入ると期待通りのパン&ケーキが並ぶ。
店員のおばあちゃんは、観光客が嫌なのか塩対応。
- ゴマパン
- ひまわりの種パン
- マーブルクッキー 100g
€4.05(¥667)
ここも現金のみ
少し歩くとオーナメント専門店を発見! 4月でも営業しているのがすごい。
お土産に買うと、飛行機では手荷物で持ち帰ることを勧められる。
オーナメント €14.95(¥2,463)
この通りにはかわいいお店が多い。
14:00 サンスーシ宮殿へ
ポツダムのもう一つの見どころ、サンスーシ宮殿へ向かう。
地図アプリ「Citymapper」で調べた通りにバスに乗ると、サンスーシ宮殿の頂上で降りることに。
ここからは下りになるのでラッキーだった。
※ ここからは「広大さ」がポイントになるので、写真の人物のサイズを参考に実寸を想像しながらご覧ください。
ガイドツアー付きの入場券をオンラインで買おうとしたら、決済エラーで買うことができなかった。現地のチケットカウンターで買うつもりで来たのだが、それらしきものが見当たらない。
とりあえずサンスーシ宮殿から階段を降りて庭へ。
どうやら宮殿はこれだけではないらしい。
東西2.5kmの広大な庭に、いくつかの宮殿が点在している。
東側に歩くと、サンスーシ宮殿ほどキャッチーではないけど同じくらいの規模の宮殿がいくつかある。
サンスーシ宮殿から東門まではまずまずの距離。
が、西側がとにかく長い。そして宮殿がほとんどなく、ひたすら庭。
道の果てには、美しいピンク色の宮殿が目視できる。
地図で見るとおそろしく遠いのだけど、目で見えているならそこまでではないはず…せっかく見えているのに行かないのも癪だなぁ…と思って、ピンク色の宮殿「新宮殿」を目指して歩き始める。
が。
遠い!!!
2.5km、ひたすら真っ直ぐな一本道。
道中の景色の変化はゼロ。
これといったエンタメ性もない並木道がひたすら続く。
庭はあるけど装飾がない。
トイレもない。逃げ場もない。バスや馬車などのチートもない。
新宮殿は常にそこに見えているのに、一向に近くならない。
2.5kmをただ歩くだけの時間。
暇すぎる。
歩いているのに暇すぎる。
暇すぎて気が狂いそうになってくる。
気が狂ったとしても、歩く以外に脱落する手段もない。
歩けども歩けども到着しないことが苦痛すぎて、最終的には目を閉じて歩いた。景色の変わらない道をひたすら歩く、歩いても全く景色が変わらないという無間地獄がこの世にあるとは。
15:00 新宮殿に到着
ここまで来たのに、中には入れなかった。許さない。
窓から覗くと、ロープが張ってあったりオーディオガイドの立て札があったりするので観光で入場することはできそう。そしてかなりの見応えはありそう。
そして例え入れたとしても、もうこれ以上は歩けない。
一刻も早く退散。
そしてその横には、探していたチケットセンターを発見!!
完全に裏口から入ってしまっていたらしい。
チケットセンターから新宮殿へと出発するガイドツアーの一団にも遭遇。
今からでもガイドツアーはあるかもしれない。
しかし私はもう一歩たりとも、サンスーシ公園を歩いてはやらない。
チケットセンターでトイレを借りる。
お土産など買ってやるものかと思ったけど、センスが良かったのでつい購入。
トイレ代 €1(¥165)
お土産代 €20.30(¥3,473)
チケットセンター前の門から公園を出るが、駅へ向かうバス・トラムの停留所が見当たらない。
スマホの充電が切れそうなので、ひとまず前の人に着いて帰りの方向へ歩いて行く。
1kmほど歩いたところに、サンスーシ駅&バス停を発見!
来たバスに乗ると、ポツダム駅までは行かない線だったので隣駅のシャーロット駅でポツダム中央駅行きのトラムに乗り換え。駅前なのでトラムの本数は多い。ちょうど学生の下校時間で混む。
帰る前に休憩したいので、駅の手前の商店街(パン屋さんとかがあったところ)で降りる。
15:30 カフェで休憩
アイスクリームが食べたかったけど、タイミングが悪くちょうど曇って寒くなってきた。
若者向けっぽいカフェ「Fahland NATÜRLICH BIO」へ。
- ドーナツ(チェリージャム入り)
- Cafe creme (何か分からないけど、コーヒーカップにたっぷり飲みたい時はこれを頼む)
€5.19(854)
ポツダムの感想
- 観光地だからか、綺麗でかわいいお店が多い。(ベルリンはやっぱり都会なので、きれいな店もあれば汚い怖い店もある。)ベルリンより楽しい。1日ぶらぶらするのにぴったり。ベルリンから電車で30分なので、日帰りもできる
- ただしクレジットカードNG率がベルリンよりも高い。個人商店が多いからかも。現金は€35持参して、ちょうどだった
- バスの座席の壁にUSBコンセントが。今日スマホの充電ケーブルを忘れてきたのは痛恨のミス
- ドイツの宮殿・庭園はシンプル&均衡。フランスの観光地がどこも装飾過多で隙あらばやかましかったのに対して、ドイツはとにかく巨大で均整が取れている。庭は面白味がない。王族が移動する宮殿間の道にエンタメ性ゼロって、フランスなら許されなさそう
- ロシア庭園も面白味なかったのは「これがソ連の共産主義性か…?」と思ったけど、むしろドイツ性なのかもしれない
パリで肉体を酷使した反省と、今日恐ろしく歩かされた反省から、1日12時間は家にいることにする。一定の温度で、風雨を凌げて、リラックスできる環境は健康のためにも必要。特にベルリン・ポツダムは天気の変化が激しくて削られる。
こっちの洗濯機が2時間かかるのもそういう生活を想定している気がする。
16:00 出発
トラムで中央駅へ。
店の目の前に停留所があって助かった。ここまで来ればどの路線もポツダム駅へ向かうので、どれに乗っても平気。
16:42 ポツダム中央駅
ポツダム中央駅は売店が豊富。帰宅時間なのでみんな食事を楽しんでいる。(スマホの電池が切れたので写真は無し。)
軽食の店だけでなく、生肉を売っている肉屋さんがあるのが珍しい。
肉屋さんで丸パンに切り込みを入れて巨大なハンバーグを挟んだだけ、巨大なソーセージを挟んだだけ、というサンドイッチも売っている。ちょっと食べてみたい。
明日は木曜市が開かれるので、必ずソーセージを買おう。
乗換案内を調べることはできないが、適当にホームに降りてみたら「Zooloplatz, Berlin hbf(動物園駅、ベルリン中央駅)」の文字があった。
ホームで待っていた電車に乗る。
- ドイツのフォントはやっぱりフラクトゥール。駅の看板も、昔の新聞のタイトル文字も。新しい看板はFuturaっぽい
- 来た時に通った駅を辿っているので、正しい電車に乗れていたみたい。来る時には美しかったドイツの森は、夕方になると寂しくて怖い。森は朝が良い
- ドイツの森は低木がないから気持ち良く散歩できそうに見えるのかも。日本の森は鬱蒼と茂るから、森=危ないイメージ。ヨーロッパの森は視界が開けている
17:30 ベルリン動物園駅に到着
駅前のカリーブルスト屋さん、ケバブ屋さんが大人気。食べてみたいけど、どうせなら空いている時間に来よう。
駅前の路上ミュージシャン、バケツドラムのデュオ。面白くて気になったけどスマホが電池切れなので検索できず。チップ募金にPayPalのQRコードを掲示していたのが新鮮。
そういえば、スーツケースとともに万年筆を失くしたことを思い出す。ドイツといえばラミーやモンブランといった万年筆の生産国。文房具屋「idee」に寄ってみるが、万年筆は置いていなかった。
(帰ってから調べてみると、従来の高級万年筆は百貨店などで売っているけど、日本にあるようなカジュアルな万年筆は少ないみたい。)
ショッピングセンター「Bikini Berlin」を通って帰る。
- 2階外のテラスからベルリン動物園の猿ゾーンが見える! 太っ腹! ちょうどニホンザルの猿山の位置。入場料が高いぶん、入れない人には施すという感じなんだろうか
- フードコートはアジア料理が充実。フォー、ラーメン、担々麺、韓国料理など。館内のソファでくつろぐ人はたくさんいるけど、フードコートは空いている
- 日本製品の専門店も発見。茶器や食器、日本食など。そうめん、蕎麦も売ってた
18:30 帰宅
夕食
- カボチャの種パン
- コンソメスープ
- バナナ
洗濯に3時間半かかる。
アマプラでドイツ映画鑑賞。
『Wunderschön』(英題:Beautiful)
2人の子育てに追われる母親、モデル業でうまくいかず焦るその妹、男性とステディな関係を築けないことに悩む女教師、太っていることに悩む少女、子育てを終えて自分を取り戻したい祖母…という「女として輝いていたい女性たち」の物語。
エンディング曲 KISHI BASHI『Carry On Phenomenon』が良かった。Spotifyでお気に入り登録。
洗濯物、赤いタオルが色落ちして新品の白い靴下が染まってしまった。靴下で良かった…。
22:30 就寝
寝落ち用に日本のYouTubeを流していたら、ずっとドイツ語を聞いていたせいで日本語が全てドイツ語に聞こえてくる。気持ち悪いので切る。
後厄度 ★★★★☆
歩いた歩数 21,243歩
(9日目に続く)
ツェツィリエンホーフ宮殿の解説を読みたい方はこちらをダウンロードしてください。
写真+解説文があるので便利。
参考文献: