旅するトナカイ

旅行記エッセイ漫画

ベルリン市内観光&日本のアレに感動 9日目【後厄パリ・ベルリン・コペンハーゲン旅行】

後厄・八方塞がりパリ・ベルリン・コペンハーゲン女ひとり旅

(前回はこちら

 

目次

 

 

 

9日目 木曜日 ベルリン

7:30 起床

やっと早朝に目覚めなくなった。

けど疲れがとれない。

 

天気予報によると、ベルリン滞在中に晴れる日は今日で最後。(連日曇っていて小雨がパラつく。そして寒い。)なので今日はシェアサイクルを借りて、点在している観光地を網羅したい。

 

動物園の目の前にポートがあるシェアサイクル「Nextbike」に登録。

登録は、電話番号を入力する → SMSで暗証番号が送られてくる → サイトでそれを入力 をするだけでアカウントを作れる。便利。暗証番号が届くのが遅くてハラハラしたけど、あれこれサイトで入力しなくて良いのがスマート。

ちなみに「Call a bike」というサービスもあったけど、こちらは登録しようとしたらクレジットカードのセキュリティが強固で、日本のSIMカードの電話番号宛にSMSが届くタイプだったので断念。(セキュリティがしっかりしたサービスだと度々こういうことがある。ahamoに乗り換えようか考えちゃうね…。)

登録料 €1(¥165)

 

8:40 朝食を食べにカフェへ

Airbnbホストにお勧めしてもらったおしゃれカフェへ。

さっそくシェアサイクルを使おうかと思ったら、徒歩10分と微妙な距離。歩く。

 

カフェ「THE VISIT」ヘ。

隣にも拡張(?)予定だった

店員さんも店内もイケてる雰囲気

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€16.50(¥2,716)

現金払いのみ。チップボックスが置いてあったのでやっとうまくチップを払えた

 

  • アサイーボウル、大きいかと思ったら底が浅くてちょうどいい量だった
  • 最初は店内が薄暗くてBGMもないので寂しい雰囲気だったけど、途中から人も増えてきて明るい雰囲気に
  • 犬連れのおじさんがふつうに入店してびっくり。犬連れにやさしい国なんだろうか

 

9:10 一度帰宅

Nextbikeを借りて、宿からポツダム広場へ。

  • 途中に大きい公園を発見。ドイツの森を楽しめそう
  • 自転車レーンが充実していて走りやすい。ちゃんと路上駐車スペースの外側に自転車レーンがあるので、路上駐車にレーンを塞がれないようになっているのが天才!!
  • 自転車用信号もある
  • ベルリンフィルハーモニーのホールの横を通る。テントみたいでかっこいい建物!

 

ポツダム広場に到着。

駅前の広い空間。

 

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有名な「ベルリンの壁」の跡のモニュメント

ベルリン各地でアーティストたちが壁に関するアート作品・記念モニュメントを作っているらしい

柱の部分の凸凹は、大量のガム。反抗の意味があるのかも

 

10:30 虐殺されたヨーロッパのユダヤ人のための記念碑

街の一角が記念モニュメントになっている

仕切りなどはなく、隣はすぐに道

中央のあたりは地面が低く窪んでいて、棺のようなモニュメントが高い壁としてそびえる

 

遠足に来た学生たちが鬼ごっこして走り回っている。

十字路のたびにぶつかってくるんじゃないかとハラハラしながら歩く。

 

歩けば歩くほど深みに落ちて壁は高くなってゆく、角を曲がると人に見つかるかもしれない、見つかったら真っ直ぐな道で逃げきれない、隠れ切れるか分からない…という状況が当時のユダヤ人の心情を表しているよう。


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子どもたちはかくれんぼで遊んでいたり、団体客はベンチにして座ったり、花が手向けられていたり

地面に埋まっていて踏まれていくのもある。気づくこと、尊重することの難しさ

 

10:40 出発

Nextbikeで移動。

 

10:45 ブランデンブルク門

徒歩・自転車は門の下を通れる

 

国会議事堂も通る。美しい建物。

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10:55 森鴎外記念館

出発前に森鴎外の小説を読んでいたので、ゆかりの場所に来たいと思っていた。

が、12:00開館だったので、先に他の観光へ。

 

シェアサイクル、駐輪禁止ゾーンではロックがかからないようになっている! GPSで認識するらしい。すごい

 

再び移動。30分くらい自転車を漕ぐ。

 

しょっちゅう工事してる

レインボーフラッグを掲げる教会

 

11:25 ユダヤ歴史博物館へ

これぞ。ヨーロッパ屈指のユダヤ歴史博物館

なんと入館無料。チケットカウンターで入場券だけ受け取り、荷物をクロークに預けて入館。

 

地下は、ホロコーストを題材にしたアート展示。

 

最初は映像の展示。荒野に穴を掘って、その中でドラム演奏をしている二人のドラマーのセッションの作品。心臓の音のようなドラムの音が地下展示場のムードを作る。

 

ゆるく坂になっている展示通路。直角がほとんどない、漠然と不安な建物
有名な作品「ホロコースト・タワー」。全てが水平・垂直じゃなくて平衡感覚を失う

こちらも有名な作品「枯葉」

『戦争で犠牲になった全ての人に捧ぐ』




 

ホロコーストに関する展示もある。これはユダヤ人のマークを捺された身分証明書

 

上階は、ドイツ領におけるユダヤの歴史・文化について理解を深めるための展示。

こちらは打って変わってポップな雰囲気。子どもも楽しめるように凝った演出で楽しい。

そして多い。

 

ユダヤの本の活版!

『あなたはメシア?』Yes/Noを選んで、下の蓋を開くとあなたの「メシア度」が分かる(笑)(メシアっていじっていいやつなの??)
近代のポスターや暮らしのアイテムも

 

ユダヤ人の偉人たち
カフカアインシュタインなど

記念コインも作れる

その隣にはハリボのグミ自販機

絵画コーナーも

ユダヤ教の音楽を聴けるコーナーもあった。

 

さらに進むと、ホロコーストに関する展示。

ホロコーストの年表。「ユダヤ人が公職に就くことが禁止される」「新聞でユダヤ系企業を取り上げることが禁止される」などの出来事がびっしり

ヨーロッパ各国のホロコースト犠牲者数。白は住んでいたユダヤ人の数、黒は亡くなった人の数。ポーランドがダントツ…

現代のユダヤ人のアイデンティティについて。「私はユダヤのお墓に入りたい」「そうは思っていない」「100歳以上生きるつもりなので、まだそこまで考えてない」など一口に「ユダヤ人」と言っても、一人ひとりアイデンティティの持ち方は異なることを展示

 

歴史、宗教、暮らしや風俗、音楽、絵画、アイデンティティ…など、「民族」というものを多角的に捉えていてとても良かった。もし「日本人」というものを展示で伝えようと思ったらきっと同じくらい多様な切り出し方があるはず。「民族への理解を深める」というこに正面から向き合って展示を構成したことが感じられた。(ユダヤの人がどう感じるかは分からないけど。)

改めて、この内容・このボリュームで無料はすごい。

 

全て鑑賞するのに2時間かかった。予定外…!

 

1階のミュージアムカフェで昼食。

ホールが明るくて気持ち良い

外の庭は藤棚が見頃!

カフェ。オペレーションがアレでめっちゃ時間がかかる

ケーキも美味しそう

 

お腹は空いたけど、円換算すると高いので一番安い「本日のスープ」で我慢。

 

コーンスープとカプチーノ

€10.50(¥1,765)

 

 

廊下のランプシェードもかわいかった

 

13:30 出発

また自転車で移動。

 

13:45 フンボルト大学

森鴎外が留学したフンボルト大学へ。ご存知フンボルトペンギンの名前の由来になったフンボルト

 

大学の目の前にある「ベーベル広場」で駐輪。

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学生の権利を訴えるデモが行われていた

 

この広場の目当ては、この広場にある「空の図書館」

ナチスが権力を増していた1933年5月10日、学生たちが「非ドイツ的な」書物 25,000冊以上をこの広場で燃やした。トマス・マン、フロイトマルクスヘミングウェイ等の作家の本が焼かれたそう。

『これは序曲に過ぎなかった。書を焼く者は、人をも焼いてしまう者である。ーハインリヒ・ハイネ

反射で見づらいけど、地下に真っ白で空っぽの本棚が立っている

広場にポツンとあるので知らなかったら見過ごしてしまいそう

焚書って、恐ろしい何かの始まりなんだよな。

 

道を渡ってフンボルト大学へ。

大学の正門

デモの警備の警察
テレビ塔も見える

大学の前では古書、切手、中古ポスター等の露店が

 

学内に入ってみる。大学ロゴグッズのショップもあった

『あなた方哲学者たちは世界を異なる解釈をしただけですが、重要なのはそれを変えることです。』カール・マルクス
卒業生?の偉人たち
入り口の広場が見える自習スペースが素敵
  • 洋画で見るような研究室とか講義室に感動…!
  • 奥に食堂も発見。マカロニの大皿がすごい量
  • 有名卒業生たちの展示は色々あるけど森鴎外の「も」の字も出てこなくて、フンボルトやらアインシュタインやらの前では所詮東洋からの留学生の一人に過ぎないのか…と痛感

 

14:20 退出

自転車で森鴎外記念館へ。

記念館は鴎外が実際に一時期住んでいたアパートにあるので、鴎外の通学経路を100年後に体験。

 

14:35 森鴎外記念館

1階のカフェは閉まっていて、博物館らしい入り口はない

こっちが入り口らしい

 

アパートのドアで「森鴎外記念館」の部屋のチャイムを鳴らすと鍵が開く。…なんか怪しいことをしている気分に。

 

鴎外が実際に下宿していたアパート

鴎外の言葉で誘われる

2階が記念館。他のフロアは普通に住居らしい

 

入ると、日本語ペラペラのドイツ人の方が中の説明をしてくれる。久々の日本語での会話で混乱する。この記念館を運営しているフンボルト大学日本語学科の人だろうか。

 

 

通路に展示パネルがびっしり
展示が分かりやすい上におしゃれ

鴎外の自室!!

水道がない時代…!
小さな暖炉もかわいい

『舞浜』日・独語の(たぶん)全文。日本語の方がだいぶ短い。日本語ってすごい

鴎外のおかげで今の大学の「学問の自由」があるんだな

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資料室には鴎外や当時の作家の本がびっしり


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知れば知るほどほんとに八面六臂。働きすぎ
鴎外の直筆手紙も




 

そしてこの記念館の1番の感動ポイント……

 


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TOTOのウォシュレットーーー!!

 

 

あぁぁぁ…お尻だって洗ってほしいよねぇぇ…泣

 

必要ないのにウォシュレットを使ってしまう。1週間以上ぶりで感動。なんてお尻にやさしいトイレなんだろう。

 

15:20 退出

自転車でKollwitzplatzの木曜市場を目指す。

せっかくAirbnbを借りているので、市場で新鮮な食材を買ってきて調理したい。

 

15:45 Kollwitzplatz市場

思ったより小さい

八百屋さん

チーズ屋さん

良い匂いに誘われて、クレープ屋さんへ吸い込まれる…。



子ども連れにも人気で大行列

チーズの良い香りがしていたのでチーズガレットを注文

€6(¥989)

 

熱い&辛い! 七味唐辛子みたいなのがたっぷり入っている。

 

八百屋さん

カゴやビニールを取って、自分でどんどん詰めていくスタイル

葉っぱを摘んできただけにしか見えない野菜

くるみやどんぐりも。メルヘン…?

レタス2種類と小さいりんご2個購入。

€8.80(1,482)

 

魚屋さん

超陽気なおじさんのお店。子どもにキャンディをプレゼントしている

 

鯛の切り身とスモークサーモンを購入。

€10.05(¥1,657)

 

「クレジットカード使えますか?」と聞いたら、

「カード払いは€10からなんだけど、君のお会計は€10.05なのでちょ〜うどカードを使えるよ〜! 驚いたな、君は天才だ!」

トークが軽妙すぎる。

 

全体的に€1=¥100だったらしっくりくる値段なんだけど、円安がみぞおちに来る。

 

16:30 BIO系のスーパーマーケットへ

地下鉄の駅に行く途中に「LPG Bio Markt」というスーパーマーケットを発見。有機野菜・エコ系というと日本では高価格なイメージだけど、こちらでは普通の選択肢、らしい。

 

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エスカレーターの真ん中にも商品が!
  • 精肉コーナーでソーセージ3種類×2本ずつ
  • ビール

€9.26(¥1,527)

 

U2線でベルリン動物園駅へ。

電車賃 €2.40(¥396)

 

17:30 Bikini Berlinでジェラート

帰り道、Bikini Berlin 2階のジェラート屋さんに寄る。

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レモン&キャラメルのダブル。レモンが完全に身体の求めている味だった…!!

€4(¥660)

フードコートで食べる

 

隣の席の中東系カップルがずーーーっと痴話喧嘩している。女の子の止まらない不満に男の子が言い返し続けている。どちらも黙らないし立ち去ろうともしないのがすごい。

 

19:45 帰宅
さっそく白ソーセージを調理してみる


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ドイツソーセージの調理方法を調べる。

どうやらドイツでは、縦に半分に切って皮をめくって食べるそうだ。

出典はこちら↓

ドイツ製法ハムソーセージの食べ方 | feinschmecker Saito ファインシュメッカー サイトウ|東急田園都市線桜新町駅から徒歩5分ドイツ製法ハムソーセージ

 

お湯を沸かして火を止め、そこにソーセージを入れて浮いてきたら完成!


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  • 白ソーセージ
  • レタス
  • ゴマパン

 

ソーセージは、熱いうちは皮が剥がれなくて皮ごと食べたけど、冷めるとつるんと皮が剥ける。桃を剥くような感じ。

 

↓参考にした動画


www.youtube.com

 

22:30 就寝

 

後厄度 ☆☆☆☆☆

歩いた歩数 14,010歩

 

10日目に続く

 

ベルリンは寒い。ULTが最高に役立ちました。ありがとうユニクロ

www.uniqlo.com

 

 

森鴎外って、よくよく年表読んでみるともしかしてフンボルト大学(当時のベルリン大学)に留学はしてない…?

じゃあなんでフンボルト大学森鴎外記念館を運営してるの…?

 

高瀬舟』が読みたくて読んでみた短編集。『山椒大夫』など胸熱な家族愛ヒューマンドラマが多い&現代語訳されていて読みやすいのでおすすめ。

 

こちらも短編集。こちらは現代口語訳ではなく原文なので難しい…! 分からないところはスルーしながら雰囲気を楽しんで読む。古文の知識がこういうところで役立つとは。

(少し前に「古文の授業は必要か」みたいな議論があったけど、自国の歴史を知りアイデンティティを形成する上で、母語の古典を読める最低限の知識を得ることって民族にとっては重要なことだな…と、ユダヤ歴史博物館などを見ると思います。古文の授業があるかどうかで、ほんの100年前の小説を読めるかどうかが変わるのだから…!)