後厄パリ・ベルリン・コペンハーゲン女ひとり旅
(前回はこちら)
目次です。つまり、今回は長いということです。
11日目 土曜日 ベルリン
7:30 起床
8:10 朝食
今日は ベルリン中心部で、国立の博物館が密集している「博物館の島」を巡る。
ルーヴル美術館や大英博物館みたいに知られたものはなさそうだけど、ベルリン観光では外せないっぽい。
土曜日だし混みそうなので、事前にオンラインチケットを購入しようとサイトを見る…が、決済のセキュリティが強固で、日本のSIMカードの電話番号に送られるSMSメッセージの暗証番号が必要。(やっぱりahamoに乗り換えようかなぁ…。)
諦めて、チケットは現地で買うことにする。
10:30 出発
今のところ晴れている&途中で寄りたい場所もあるので、自転車で博物館の島を目指す。
…が、寒すぎ。
帽子と手袋が要る。
手は袖でなんとかカバーするとして、ニットの帽子は欲しい。
またショッピング街へ。
ユニクロ等でさくっと手に入れたかったけど、タイミング悪くちょうど品揃えが春夏モノに入れ替わったところで冬モノのニット帽はない。
たまたま通りかかった「PULL&BEAR」というお店でニット帽を発見。ふかふかのカシミアのニット帽をゲット。
若い人向けのお店だと思うけど高齢の人もたくさん買いに来る。おばあちゃんのゆっくり会計にも嫌な顔ひとつせず若い店員さんが対応している。やさしい。私のお会計にもやさしく対応してくれる。
時々、小雨や霰が降るので買ってよかった。ちょっと頭が守られるだけでも違う。
11:00 改めて出発
自転車で「戦勝記念塔」を目指す。パリのバスティーユ広場みたいな塔が立っているらしい。
プロイセン時代に戦争に勝ちまくっていた頃の記念の塔だそう。
11:30 戦勝記念塔
宿の近くの広い公園の中心にある。
写真だけ撮って出発。塔が大きい&周囲の道も広いので、ただ見るだけでもけっこう歩くことになる。
自転車で「博物館の島」を目指す。
11:50 博物館の島
この日は博物館の島の近くで「ベルリン・アートマーケット」が開かれている!
屋外の市場でアート作品が売られるとか。市場好き・兼・アート好きなので楽しみにしていた。
日本のハンドメイド市やアートフェスタと同じく、1つのブースにつき作家さん1人が作品を展示して、その場で買うことができる。大阪のアート&てづくりバザールを思い出す。
作品を見ていると、もちろん一人ひとりに異なる個性があるけど、全体の印象として「ドイツは感性が全然違うね!」みたいなことはなかった。
そろそろお昼ご飯の時間。ランチの場所は決めていなかったけど、アートマーケットにソーセージの屋台があったので、取り急ぎ腹ごしらえ。
€3.50(¥577)
食べている間に小雨が降ってくる。木の下で雨粒を凌ぎながら食べる。
12:20 旧国立美術館へ
ついに「博物館の島」へ。広い公園の周囲に美術館・博物館が点在している。
ちょうど大聖堂の鐘が鳴る。
なんとなく歩いていて辿り着いた、旧国立美術館。
チケット売り場はやっぱり大行列!! 建物の外の庭まで行列が伸びている…!
約1時間並ぶ。
並びながらノート記入。寒くて指先がかじかむけど、騙し騙し記入。
…していると、小雨が降ってきた。
小雨ではない。霰だった。
傘を持って来なかったので、ボツボツと降り注ぐ霰にただただ降られる。
寒い。
入り口の列整理をしているおじさん、1人でチケット列も、チケットを持っていて入場する人も捌いている。チケットを持っている人を優先的に対応する&なにか質問してきた人にも懇切丁寧に説明してあげるので、チケット列がなかなか進まない。
じりじりイライラしながら、ようやく建物の中へ。
チケットカウンターに並ぶ。窓口は2つ。次はやっと私の番…! というところまで来て、現地人のおばさんが「ちょっと買ったチケットに手違いがあったから先にごめんね」みたいな感じで割り込む。「後ろの列も長いし、まぁすぐに済むなら」と思って先に行ってもらう。
が、このおばさんのキャンセル手続きに時間がかかる。もう1つの窓口のおばあちゃんも何やら複雑な注文をしていてなかなか空かない。私の後ろに並んでいた人があまりの進まなさに呆れて笑い出す。
ようやくキャンセル手続きが済んで、私の番。スタッフさんが「すみませんね、チケットに手違いがあったんです」と謝ってくれたけど、返金の記録を記入したり書類整理したりをじっくりやっていて特に急ぐ素振りはなく、こちらも寒い中1時間並んだダメージも加算されて内心は憤怒なので愛想笑いを返す心の余裕はなかった。おそらく「この人なんでこんなブチギレてるんやろう」と思われたであろう。
サクッと博物館の島の1日券を購入。
博物館の島デイチケット €24(¥3,951)
ドイツの店員さんって、めちゃくちゃ行列してても焦らず急がず、目の前のお客さんにとにかく丁寧に対応するんだなと思う。日本みたいに「後ろに並んでる人がいるんだから早くしてくれません!?」みたいなオーラはない。並んでる時にはイライラするけど、自分の番になると良い接客を受けられるので一長一短。とにかく待ってもイライラしないことが大事…。
13:20 先にカフェへ
やっとチケットを手に入れてクロークに荷物も預けたけど、ずっと立っていた疲れと憤怒を落ち着けるためにミュージアムカフェへ。
カフェは、地下の小さなギフトショップと一緒になっている。
レジでカプチーノを頼み、コーヒーメーカーで淹れてくれたコーヒーをその場で受け取る。
狭い店内の半分がカフェスペースになっているのでそこでいただく。
カプチーノ €3.90(¥642)
ちょっと心が落ち着く…。
喉が渇いていたみたいで、一気に飲み干してしまう。
13:30 旧国立美術館 鑑賞
改めて展示へ。絵画がメイン。
そこまで広くないので助かる。
2階は企画展。
Casper David Friedrich の「Endless Landscape」という企画。
写真のような精緻な筆使いで、空想の大自然の風景を描く人らしい。
あまりにもモダンな作品なので現代のアーティストだと思ったら、1800年代のアーティスト。とてもそうには思えない厨二感。
14:15 新博物館へ
すぐ隣にある「新博物館」へ。
新博物館は企画展のみらしい。この時はエジプト展。
写真NGだったけど、ネフェルティティの胸像がとにかく美しかった。頭ちっっっさい。ほっっっっそい。全ての大陸で共感されそうな美しさ。
15:00 パノラマへ
博物館の島の道案内になにかと「パノラマ」って書いてあるので、「パノラマって何ぞ…?」と思いながらたまたま通ったので行ってみる。
改装中の博物館で、パノラマの展示だけが今は見れるらしい。
入ってみると、円形状のホール。
360度のパノラマで古代ローマの暮らしぶりを描いた絵画が壁一面に貼ってあり、中央のやぐらに登ってその暮らしを神の視点から見下ろすことができる、という展示。
ライトや音声で1日が過ぎていく感じを演出している。
これを描く・作る労力はすごい。しかし感動があるかというと「…」。
どうやら古代ギリシア・ローマ時代のペルガモンの遺品を展示するための博物館らしい。他の部屋には像などを展示。
なんか、なぜドイツに来てエジプトとかローマの展示を見てるんだろう…という気持ちに。東京観光に来た外国人がうっかり古代中国展に来ちゃった感じだと思う。
15:15 ボーデ博物館へ
次の博物館へ。
道中に露店があった。中古レコード、お土産物のからくり箱、骨董品など。
ボーデ博物館、到着。
美しいぃぃぃ…!!
建物だけでも充分楽しい。
展示は中世?のキリスト教関連の品々。
像もたくさんある。めっちゃたくさん、ある。
15:50 旧博物館
もう何がなんやらだけど「旧国立美術館」とは別の「旧博物館」。
こちらは古代ギリシア・ローマの壺や像。なんかドイツのものを見に来たつもりがギリシア・ローマのものばかり見てる。
かわいかったです。ボリューム感もそこそこで楽しかった。
16:30 ベルリン州立中央図書館
図書館ハンター(いつのまになったん)としては海外の図書館は見逃せない。「ベルリン州立中央図書館」は評判のようなので見に行ってみる。
地図上では3ブロック先。歩いて向かう。
ベルリンは1ブロック=200mあるのでけっこう歩く。「ちょっとそこまで」が全然ちょっとじゃない。
クタクタになりながらベルリン州立中央図書館に到着。
中はとてもきれい&カフェもついている。
自習テーブルではコンセントも使えるし延長コードも貸出コーナーに置いてあった。
落ち着く…!!
安全で暖かい、警戒しなくて良い空間…。
もっと早くこの場所に出会いたかった…。
宿から近ければ何度も立ち寄ったと思う。
ヨーロッパの図書館は、席でノートパソコンを広げても良いし軽食くらいなら席で食べても良い。タッパーにパスタを入れて持ってきたり、ナッツをポリポリしたりしながら作業している人が普通にいる。
私の地元の図書館は、パソコンは打音がうるさいから禁止されていたり鉛筆の音すら配慮が求められたら、静かさへの厳格さがすごい。食事なんてもってのほか。
どうしてヨーロッパでは雑音や飲食行為に寛容になれるんだろう。広々としていてパーソナルスペースが広いから? 嫌なことがあれば揉めずに指摘できる文化だから? 騒音がほどよくて、より集中できる。(私が行くのは評判の図書館ばかりだから、どこでもそうなのかは分からないけど。)
スマホを充電&ノートを書いて、出発。
17:30 東ドイツ博物館
「博物館の島」をほぼ制覇したものの、あまり「ドイツについて」の見識を深めることはできなかった。ルーヴルやオルセーみたいな「この博物館に来たら、名物のアレが見れまっせ!!」みたいな有名作品もなかった。
消化不良で地図を見ていたら、すぐ近くに東ドイツ時代の歴史や暮らしを展示する「東ドイツ博物館」が! これこれ! こういうのを見たかったのよ!!
島から川を1本渡って、河岸にある。
河辺の階段を降りたところに入り口が。
(路上の手品師、『地球の歩き方』では詐欺のパターンとして紹介されていた。カップの中でどれにコインが入っているか観光客に当てさせる(でも仕掛けがあって全く当てられない)というショーらしい。欧米人たちがノリノリで楽しんでいたから、これを詐欺と見るのか、楽しませてもらった対価ととるのかは人によるよな…と思った。日本人の場合は強めに逆引きされたら断りきれなくて…というところでトラブルになるのかも?)
「ベルリンの壁」については、旅に出る前は「一晩で壁が立った」「東ドイツからの解放でテンション上がった市民が打ち壊した」くらいしか知識がなかったけど、この本を読んで予習。
知らないことがたくさんあった。
- 一晩で有刺鉄線などを使って封鎖。壁自体はもうちょっと落ち着いて作った。ベルリンの街は第二次世界大戦で大打撃を受けたので、壁に使う瓦礫や煉瓦には事欠かなかった
- ソ連が統治した東ドイツは、ソ連が課した高額な戦争賠償金に苦しんで貧しかった。アメリカ・イギリス・フランスが統治した西ドイツはどんどん栄えて、東西ドイツの経済格差が激しかった
- ベルリンの市内で経済格差が二分していることに東ドイツ市民は不満が募り、毎週何千という市民が西ドイツに亡命した
- 東ベルリン市民は、裕福な西ベルリン市民が物価の安い東ベルリンに押し寄せて店が混雑する、でも奴らは東ドイツに納税はしない…というのを憎々しく思っていたので、壁ができたことでようやく東ベルリンも経済的に成長できる、という安堵感もあったとか
- 一方でやっぱり市を壁で二分するというのには無理があって、自分のアパートの目の前に壁が立ってしまって外にすら出られない人がアパートの窓から飛び降りたり、家族に会うこともできなくなってしまった人が壁の突破を試みたりということが相次ぐ
- 東ベルリンでは西ドイツに逃げようとする市民を容赦なく射殺した。そういう、ベルリンの壁の「犠牲者」もベルリン市民たちは壁の歴史として心に刻んでいる
こういうことを踏まえて、ベルリンの壁によって他の世界から隔たれた「東ベルリン」について知っていく。
東ドイツ博物館 入場料 €13.50(¥2,223)
館内は大人気で混んでいる。展示の見せ方がいちいち面白くて、狭いフロア内でもくまなく見たくなる!
- 東ドイツでは食料の配給が少ない。粗食を奨励する日もあった
- 「模範的な国民」であることのインセンティブとして、クーポンが配られた
- 仕事も少なくて求職者で街は溢れた。求職のプラカードを首から下げて街に立つ女性の写真は笑顔だったが、果たして
- いうても東ドイツという国は20年以上も存在したわけで、その頃の価値観で育った人たちはその後苦労しただろうなぁ…
- もっと言えば、第一次世界大戦、第二次世界大戦、冷戦を経験した人って人生の中で国の価値観や情勢がグルングルン変わってるんだよな。どうやって自分を保つんだ
歴史コーナーが終わると、展示の後半は「東ベルリンの暮らし」を再現したモデルハウス。
入り口はエレベーター風になっていて、当時のベルリンにタイムスリップするような演出がニクい。
幼稚園は「東ドイツの価値観」を国民に持たせる初期教育機関として重視された。
展示解説に「食事も昼寝も集団行動で全て決められており、自主的・自発的な意思ではできなかった」と書いてあり、
……
に……日本では今でもそれが普通なんですけど……。
日本の義務教育課程って西洋人が見たら絶句するのかな…。
他の博物館などにはない個性的なお土産がたくさん。東ドイツ時代のポスターデザインのマグネット、トラバントの消しゴム、カント「資本論」消しゴムなど。
18:20 バスで戻る
博物館の島の100系統バスで帰ろうと思ったが、定刻になってもバスが全く来ない。みんなどうしたもんかと待っている。
地下鉄U-Bahnに切り替えて駅まで15分ほど歩く。
運賃 €3.50(¥576)
19:15 スーパーマーケットで買い物
駅前のスーパー「EDEKA」に行ってみる。
ペットボトルのデポジット機を発見。
ドイツではペットボトルやリサイクル可能な瓶をお店に返すとお金が戻ってくる制度があるのだ。デポジットは1本=€0.25なので小銭程度だけど、まとめてお店に持っていき、その日の買い物の割引を受けるそう。
明日ペットボトルを持ってきてみよう。
- ビール
- おにぎり
- チョコ菓子
- お土産のお菓子
€9.54(¥1,618)
19:40 パスタのお店へ
パスタが食べたい!
宿の近所の「Evin Pizza-Pasta」へ。
店員のお姉さんが良い感じ。
- ボロネーゼ
- りんごソーダ
パンとオリーブは付き出しでついてくる。
€15.50(¥2,550)
先に来ていた老夫婦のお婆さんの方がずっと何か呟いている。お爺さんが半分あしらうような感じで勘定を済ませ、お婆さんを連れて出ていく。チラッと見るとお婆さんと目が合った。たまたま…なのかな…?
同時に、続々とお客さんが帰っていく。
…ドイツ語なので何を言っているかは全く分からない。
分からないけど、私のことを言っているわけじゃない…よね…?
ぜんぶ、ぜんぶたまたま…だよね…?
私が入ってきたことでお婆さんの機嫌を損ねたんじゃないよね…?
「日本人がいる店で食事ができるか」とかそういうことを言ってるわけじゃない、よね…?
ドイツ語ってやっぱり怒ってるように聞こえるよ…!
(たぶん全て私の疑心暗鬼だと思います。)
ご飯は美味しかった。
クレカ決済をしたけど、あとでレシートを見るとチップは別で置いていかないといけなかった。つらい。いつまでもチップをうまく払えないのがつらい。
20:45 帰宅
帰ってからさっそくおにぎりを試食。
ごはんが酢飯だったので、おにぎりなのにお寿司を食べている不思議な感覚。
こちらのお菓子も購入。
子どもの頃の夢を形にしたようなお菓子。
チョコがあっさりしているので、マーブルチョコの食感と甘みをちょうど良くチョコクッキーが包んでくれてどんどん食べちゃう。
マーブルの個数に個体差があるのが海外製っぽさを感じる。
洗濯。
パスタソースが白トレーナーについていた。漬け置き漂白剤&漂白洗剤で洗ったら完璧に落ちた。ちゃんと汚れを個別洗いするのって大事ね。
22:30 就寝
後厄度 ★★★☆☆
歩いた歩数 22,111歩
(12日目に続く)
ベルリンの壁のお勉強本。ちょっと語り口が外国風なので日本語でも読みづらい部分はあるけど、勉強になります。
当時を経験した方々への取材を元に、壁の時代に暮らした市民一人ひとりの物語にスポットを当てた本。時間経過とともに、市民それぞれがその時何をしていたか…を追っていく構成で、主人公のいない群像ドラマを見ているような感じ。
あと、ベルリンのエッセイ漫画といえばこちらですね。