後厄・八方塞がりパリ・ベルリン・コペンハーゲン女ひとり旅
(前回はこちら)
目次です。
12日目 日曜日 ベルリン
4:30 目が覚める
風呂場の洗濯干しのヒーターの音がうるさい。今にも爆発しそうな音がする。(でも爆発はしない。)
リビングのソファでだらだら。だらだらしたいときの選択肢が少ないのがつらい。
目的の映画やYouTube動画を見ている時以外は、アマプラで海外ドラマ『ビッグバン★セオリー』をドイツ語で流していた(何巡も見たので内容は覚えている。)それも1週間以上も続くといい加減、飽きてきた。かといって他に見たいものもなく。
ビッグバン★セオリー Season 1 - 字幕番 Amazon Prime
7:00 洗濯
洗濯機を回す。明日はコペンハーゲンへ出発するので、今日で全ての洗濯物を洗って乾かしておきたい。夜中に洗濯すると下の階に迷惑かもしれないので、ギリギリ許されるであろう7時から回し始める。
洗濯に3時間半かかるので、これを干してから出かけよう。
アマプラでドイツ映画『Sachertorte』を流し見。作中で『ビフォア・サンライズ』の名前が出ていて、似たような雰囲気の恋愛映画。
街でばったり出会った女性「ザッハトルテさん」と再会するためにカフェに通う男性。彼の人生に赤髪のもう一人の女性も現れて、どっちの女性と付き合うのかな…みたいな物語。セリフが理解できないと内容もよく分からなかった。
だんだんドイツ映画を観るのにも飽きてきた。そろそろドイツ語じゃない、理解できるものを観たい…でもせっかくドイツまで来ているのにどこでも見れるようなものを見ている場合じゃないのでは…と心が分裂する。
朝食に、昨日のスープとバナナを食べる。
8:30 早い昼食
今日の昼食は木曜市で買ったスモークサーモン。朝食が呼び水になって空腹が助長されてしまったので食べることにする。(昨夜から食のリミッターが外れている。)まだ朝だけど、起きてから4時間経っているのでこれは今日のランチ…。
- 焼いたスモークサーモン
- プレッツェル半分
- レタスサラダ
カリーブルストのマヨネーズに癒されたので、今日はマヨネーズで味付け。マヨネーズって美味しいね!!
10:30 出発
洗濯機の残り時間が「10:00」になっていたので、それなら洗濯を干してから出かけようと思って待つ。
…が、10分経っても終わる気配がない。洗濯機を見に行くと残り時間が「30:00」になっている。どうやらこの行程の残り時間を表示しているだけらしい。
諦めて出かけることにする。
Wittenberg駅からU-Bahnに乗る。
『地球の歩き方』で紹介されていた「マウアーパーク(Mauerpark)の蚤の市」に行ってみる。日曜の10時〜18時に開くらしい。かわいい骨董品を見つけたらお土産にしたい。
運賃 €3.50(¥576)
天気は良いけど、日曜なのでほとんどの店は閉まっていて寂しい。
11:20 Mauerparkの蚤の市へ
駅前のおしゃれカフェが大行列している。有名なのかな?
駅から10分ほど歩く。
この駅で降りる人はみんな蚤の市に行く人たち。人の流れについていくと自然に到着。
いわゆる蚤の市=フリーマーケットと、作家さんのアート・ハンドメイドが半々。昨日のアートマーケットで見たのと同じ作家さんのブースもあった。日本人の方のブースもある。とってもかわいいレザーのナップザックを売っていた。
飲食ブースも充実している。カリーブルストはもちろん、チキン、ケバブ、韓国料理など多国籍な屋台でよりどりみどり。たこ焼きを売っている日本人らしき方がやっている屋台もあった。
いろんなチーズケーキを売っているお店がかわいいので購入。HARBSみたいな巨大なケーキ。
ここで食べるつもりが間違って「Take away」で頼んでしまう。箱詰めさせたら申し訳ないな…と思ったけど、薄い紙でくるんで紙皿に乗せ、紙袋に入れる簡易包装だったので、人混みをかきわけてテーブルまで持っていくのにはちょうど良かった。
味はあっさり。
晴れているけど風が強くて寒い…!!
お土産を探そうかと思ったけど、雑多に物が多すぎてあまりピンと来ず。
12:00 退場
一周見たら満足したので退場。
駅へ向かう。
駅へ向かう途中、ガラスコンテナを発見。一度ビンを捨てると街中にあるガラスコンテナが目につくようになる。
寒いので宿に帰るか、気になっていた博物館「テロのトポグラフィー」に行くか迷う。
ひとまず駅まで歩いて、駅に着いたから行き先を決めよう。
この寒さの中、日曜でお店は開いていないのでコーヒーで温まりたいとかトイレを借りたいとかいう時に駆け込める場所がなくて心細い。駅までの10分くらいの時間、トイレに行きたくならないかと不安。
駅に着いたら「まだ帰るには早いかな」と思い直し、U-Bahnのポツダム広場駅で降り、テロのトポグラフィーを目指す。
運賃 €3.50(¥576)
12:40 テロのトポグラフィーへ
名前からはピンとこないけど、第二次世界大戦時のヒトラー政権の恐怖を残している博物館。こちらも無料。
「ユダヤ歴史博物館」と並んでベルリンにおける第二次大戦ドイツ大反省記念館って感じ。
展示は大きく分けて2つ。
前半は、「ベルリンの壁」の跡に沿って展示されている屋外展示。
第一次世界大戦後の不況に喘ぐドイツの状況 〜 ナチ政権台頭 〜 独裁政権化 〜 第二次世界大戦敗北、戦後処理 までの流れを展示。
ヒトラーの演説など、当時の音声を聞けるブースもある。
向かって左から右へと読んでいくと、ベルリンの1933年〜1945年の歴史がわかる。
展示の2つ目は博物館内。より生々しい粛清・虐殺の展示。
ドイツだけでなくヨーロッパ各国で行われたプロパガンダ・粛清・強制労働・虐殺の記録も展示されている。
エグめの写真が多く、展示ボリュームも大きいのでけっこうしんどい。
ヒトラーの虐殺というとユダヤ人に注目しがちだけど、最初はナチ党の政敵が標的となった。(政治思想が違うだけで殺されるって…政治家も仕事してるだけだろうに…。)そこから「ナチ党以外の政党の支持者」という市民にまで標的は広がり、政治家だけでなく一般市民も標的になる。
暴力はエスカレートしていき「外国人と付き合っているドイツ人」「同性愛者」「障がい者」「ジプシー」…要するに「ドイツ人の遺伝子を残せる父・母・子どもたちという模範的な家庭を築けない人」「ドイツに労働力を提供しない人」が標的に。
アパート暮らしの若い男性が「何年も住んでいるのに女性を連れ込んでいるのを一度も見たことがない」というタレコミで捕まる…なんてことも。
あまりにもなので写真は撮らなかったけど、年代が進んでエスカレートすると、銃殺、首吊りが当たり前に。その写真もたくさん展示されている。
当然のように銃が向けられて、撃たれた人が倒れる。それを写真家は撮っている。
見せしめのために何人もの人が街の街路樹に首吊りになっている。その道を子どもたちが当たり前のように歩いている。それを写真家は撮っている。
それがドイツだけでなく、ポーランドやイタリア、ハンガリーなど様々な国で同じように行われていた。
今、超少子高齢化の日本において
人口を増やすためには?
誰彼構わず増やすのではなく<日本>の繁栄に資する<日本人>を増やすためには?
日本文化や価値観を引き継ぐ<模範的日本人>を増やすためには?
を考えると、この先、果たしてドイツの辿った道を我々は絶対に辿らないと言い切れるだろうか。
14:25 カフェで休憩
展示のボリュームと内容に疲れたので、館内のカフェで休憩。8時にランチ、昼にチーズケーキを食べただけなので空腹ではあるけど、エグい展示を見た後なので軽いおやつにしておきたい。
レジで大きなクッキーがクッキージャーに入っていたので1枚もらう。一番上のを取ってもらおうと思ったら、店員のお姉さんが「いろんな味があるから、選ばない?」と英語で勧めてくれる。
選ぶのが面倒だったし一番上のも好みだったのだけど、「いやいや、選びなよ!」とどんどん下のクッキーをお皿に出して味を説明してくれる。「選ぶ権利があるのにそれを行使しないなんて信じられない」という勢い。
いくつか見せてもらったものから、チョコチップ付きのをいただく。
クッキー、カプチーノ €7.40(¥1,217)
クレジットの機械でチップを上乗せできる仕様だったので最終的な支払いは€8.14
「サービスの良いお姉さんだったな〜」とほくほくで食べていたら、後に来たアメリカ英語のお客さんが店員さんに「ちょっと、それは入れすぎ! 私はストロングのコーヒーを注文したの! あなたストロングの意味分かる?」とクレームしていてイヤ〜な気持ちに。最終的にお客さんは笑って許していたけど、 ドイツに来て英語で注文しながら「意味わかる?」はないだろ…。
まあ、ドイツ語を話せずろくにチップも払えない私があのお客さんにどうこう言える立場じゃないか…むしろ世界的に見れば私のような日本人の方が「チップを払わない」と煙たがられているかもしれない…。
なんだか寒いし天気も連日ぐずついて気分が晴れないし、こういうモヤっとがあちこちで発生するし、洗濯機は時間がかかるしヒーターはうるさいし、観光地もテンション上がらないしむしろ暗い歴史が多いし、あと荷物も盗られたし、ベルリンに来てから気分がアガる瞬間がほとんどない。
道が広くて建物も大きくてどこに行ってもとにかく歩くのが大変で、現地の人も背が高いから自分が小人になったみたい。他の国なら「ちょっと」のことが、ここだと「よいしょ」と頑張らないといけない。ちょっと良い気分になるためにもコンサートに行ったりレストランに行ったり、お金を払って行動しないと何もない。しかしお金を払おうにも物価が高い。美味しそうな料理が並んでいても私には一番安いメニューを選ぶことしかできない。
どうしてこんなことをしているんだろう…。
日本にいた方がずっと良いじゃないか…。
同じことをするにもお金はかからないし、天気はピッタリ天気予報通りだし、言葉が分からなくてハラハラすることもないし、日曜だろうが深夜だろうが入れるお店があるし、「ちょっと」のことが「ちょっと」で済む。
明日、コペンハーゲンに行くのを辞めて、このまま帰国してしまおうか。
その場でExpediaのアプリを開き、帰りの飛行機を調べる。
チケットは10万円前後。
すでに予約している便のキャンセル料は3万円。
コペンハーゲンのホテルは3万円、ベルリンからコペンハーゲンへの電車は1万円。これらは返金されるかどうか問い合わせないと分からない。(電車はキャンセル不可の安いチケットにしたと思う。)
今から帰国すると17万円…。
17万円は…ちょっと…。
今夜考え直すことにして、テロのトポグラフィーを出る。
一度帰って洗濯物を干さなければいけないので、バスで帰宅。
今回は初めて、バスの運転手さんからチケットを買ってみた。現金を入れる場所が分からなくて、乗務員さんと話すための窓口から差し出してしまい「違う違う、こっちこっち」と呆れられる。
€3.50(¥576)
15:00 一旦、帰宅
洗濯を干す。第二弾を回す。
とにかく気分が沈んでいるので癒しが欲しい…。もう新しい場所に行くパワーはない…。
モフモフの動物を見て癒されよう。ベルリン動物園に行こう。
15:30 ベルリン動物園へ
今回も閉館時間まであまり時間がないので、水族館とのセット券ではなく動物園のみのチケットをオンライン購入。
€24.50(¥4,030)
まずは小腹を満たすために園内でフライドポテトを購入。
€5.24(¥861)
こちらもクレジットカードの機械でチップを上乗せできた。ありがたい
前回ほとんど見て回れたと思っていたけど、意外に見逃していたゾーンもあった。
川を跨いで展示ゾーンがある。
ブンブン=マレーシアのジャングルの中にある動物観察小屋。険しいジャングルの中にある高床式の小屋に篭ってトラやゾウなどの動物を観察できる。
前回は天気も悪かったけど、今日はまだ晴れ間が多い。
お気に入りの動物をスケッチして時間を過ごす。
カバは描けば描くほど、顔の構造がワニに似ている。水生生物はああなるのかな?
ギフトショップを物色。動物園の入り口は2つあり、入ってきたのとは別の出入り口にあるショップの方が陳列が良くて物欲をそそられる。
使っていたペンがインク切れしたのでここで購入。
ペン €3(¥494)
18:30 帰宅
夕飯を作る。市場で買ってきたソーセージ、最後の1種類。
焼いて食べるつもりだけど、例のソーセージ調理法サイトによればお湯で温めてから焼き色をつけるらしい。
スーパーで買ったドイツビール、やっと開栓。
こっちの便は開けやすい。
うんまぁーーーーーーい!!!
ビールは苦さが苦手だったんだけど、これには苦味が一切ない!!!
雑味ゼロ!!!
アルコール臭さもない!!!
麦のおいしさ、みずみずしい香りがスルリと入ってくる!!!
シンプルで、味があっちこっちに飛ばない、ストレートな味!
こんなに美味しいビールは初めて!!!
なぜ…!
なぜもっと早くドイツビールを飲まなかったんだ…!
毎晩ドイツビールを飲んでいたら、毎日夜が来るのが楽しみで楽しみで、鬱々とすることなんてなかったかもしれない…!!
ビールを飲みながらソーセージも焼いて、夕飯。
- ソーセージ
- レタス、トマトサラダ
- プレッツェル半分
- ビール
- スープ
ビールがスイスイ進む。酔いも気持ち悪くならない、フワフワ良い気分。
日本人が「熱いお風呂」で1日の疲れを癒してきたように、ドイツの人はビールで疲れを吹き飛ばすのかも。その国にその国の活力剤がある。
22:00 就寝
後厄度 ★★★☆☆ (ビールがなかったら星5)
歩いた歩数 20,176歩
次回は番外編
(13日目に続く)
帰国後もビールにしばらくハマって、日本の缶ビールの美味しさも分かるようになりました&悪酔いしなくなりました。魔法にかかった。(あんまりハマると懐に苦しいのでほどほどにしています。)
↓この本を書いた方が「ベルギービールを飲んで衝撃を受けた」と言っていた意味がわかった。
あと、ベルリンの重たい歴史を観光したい方はこちらを参考にどうぞ。歴史を学びつつ観光地を知ることができます。読了せずに行ったけど、帰ってから復習するのにも良いかも。