後厄・八方塞がりパリ・ベルリン・コペンハーゲン女ひとり旅
(前回はこちら)
今回はデンマークにある「フレデリクスボー城」特集です。
15日ヨーロッパにいて一番良かったんだからみんな行ってほしい、知ってほしい推し代(おししろ)しかないお城。
首都・コペンハーゲンから電車で1時間。Hillørdという読み方も分からない駅にあります。
観光マップに載っているこの写真を見て、行かずにはいられなかった。
道順はこちらのブログに詳しく載っているのでご参照ください。
Hillørd駅から15分ほど歩くと、湖とともに現れる。
湖畔の気持ち良い公園を歩きながら、どんどんお城に近づいていきます。
ヨーロッパの定番のお土産ポストカードで、各都市のシンボル的な建物を違い違いに組み合わせたおしゃれなイラストカードがあるんですよ。あれを思い出す。
↓こんなの。
世界各地、名所と呼ばれていても「それ自体は綺麗だけど、一歩引いて見ると…」というパターンが大いにある。写真に惹かれて現地に行ってみたけど、写真の色彩加工とかトリミングによって実際よりも綺麗に見せてるんだなぁ〜…とか、歴史建築の周囲に高層ビルが建ってて雰囲気ぶち壊し…とか。
デンマークの場合は周辺も含めて街並みが全て美しいので全く隙がない。古い街並みを残すために最新のビルを建てさせないのではなく、最新のビルも古い歴史的建造物も全てがうまく溶け合うように設計されている。と思う。
さて、橋を渡ってお城に入ります。
門を入ると、建物に囲まれた広場がある。
さらに小さい橋を渡ればメインのお城。
お城に入る前にトイレを見つけたので寄っておく。無料。(デンマークでは有料トイレには出会わなかった。)
建物が多くてどこに入ればいいか分からないまま歩いていた。この看板が立っているところに行ってみると、そこがチケット売り場&入り口だった。
入り口に立っているドアマンのおじさんが優しい。チケット売り場や荷物置き場の場所を丁寧に教えてくれる。
チケットカウンターで入場券を購入。
110kr(¥2,471)
荷物をロッカーに預けて館内ツアー開始。
最初の広間「バラの部屋」。
地下の展示場への階段があったので、先に行ってみる。
地下は小さい展示コーナーとトイレがあっただけなので、1階の広間に戻り、そこから2階へ。
2階へ上がると…
圧っっっ巻…!!!
ちょっといきなりK点越えの荘厳が目の前に現れて叫び声が出そうになったところを、立札にしっかり嗜められる。
心の中で「ふぇ〜〜〜〜」「ひぇ〜〜〜〜」「ひょぇ〜〜〜〜」と叫びながらぐるりと2階テラスを一周。
ヴェルサイユ宮殿もそりゃあ豪奢だったけど、それともまた違う…規模は小さいけど装飾が凝っていて、贅は尽くしてるんだろうけどそれよりも「技巧」とか「デザイン性」を感じさせる感じ…。ただ豪華絢爛なだけにはしない、色合いのまとめ方とかが北欧センス…。
続いて、部屋ごとに壁の色が違うゾーン。(こういうのヴェルサイユ宮殿にもあるよね。)
…『あいの里』の名シーンを思い出すよね…。(おかよ回は何度見ても泣く…。)
寝室も現れました。
このくすみグリーンみたいな色の壁紙と落ち着く木のフローリングが寝室って、現代の理想すぎない? こんな落ち着いた木の家具に囲まれて眠りたくない??
圧巻ーーーッッッ…!!!(2回目)
王様の権威とか神話のワンシーンとかでもなく、この感じですよ。
天使にしても人形劇に出てくるお人形さんみたいなかわいいキャラデフォルメですよ。
なんで北欧って王様でも「かわいい」路線になるの??? 素敵すぎない???
いちいち感動で声が出そうになるのを必死に抑えたよ…。
窓からの光すら荘厳…。
英語で言うならAstonishing.... Wonderful とかAmazing とかでは済まされないこの気持ちはAstonishing....
もっと写真をバシバシ撮っておけばよかったと後悔。キリがないので抑えてしまった。写真をタイルのように敷き詰めればこの広間が再現できるくらいくまなく撮っておくべきであった。それだけの写真を以てしても、この場に居た私の心に去来した感情を表すにはまだ足りない。私が5次元の存在に進化して4次元空間を超えてこの時のこの部屋に突如として現れない限り、この胸いっぱいに満たす感動を再現することはできない。(最近『三体』を読んでいます。)
ずっと同じペースで城内を回っている「たぶんぜったい日本人だろうなぁ」という一眼レフのお兄さんがいて、あまりに感動してこの感動をお兄さんと分かち合いたいと思ったけどこの後も城内を同じペースで回り続けることになる気まずさを想像してなんとか思い留まる。
あの時のお兄さん、もしこのブログをご覧になっていたらあなたの一眼レフ写真を一目見せて…! それでしか私を5次元の存在に仮想的に進化させる手段はない…!
さらに他の部屋へ。
奥の、廊下と部屋が並ぶ塔へ。
こんなかわいい壁のお城、ある!?(迫真)
内庭に向けて真っ直ぐに廊下が通っていて、そこから湖に面した7つの部屋に入れる。古い日本のお屋敷を思わせる構造。「この廊下を使用人たちがバタバタ走り回って、各部屋の王族のお世話をしたんだろうなぁ…」とか考えながら歩くと楽しい。
廊下に並ぶ家具も、各部屋のインテリアもどちらもかわいい。全部撮っておけばよかった。
こういうセンスが現在のIKEAとかマリメッコとかフィンレイソンとかにも地続きなのね…。
4階に上がると、今度は企画展示室。
急にモダンな美術館みたいな空間に切り替わる。
「1900年から今日」というタイトルで、絵画や写真からデンマークの100年の歴史を振り返るという企画。
お城の中でこういう展示をしているところに、レトロとモダンを融合させるデンマークのセンスを感じる。
日本では近年の皇室や首相の肖像画なんて見たことないけど、描かれてるのかな? 武将の肖像画が残ってるんだから今でも描かれていていいはずなのに、今では写真しか見かけない。
最近でもチャールズ英国王の肖像画が話題になったし、肖像を通して芸術文化を興す意味もありそう。日本なら日本画のタッチで皇室や有名人の肖像画があっても良さそう。
たっぷり2時間堪能。
これでも工事中のゾーンがあって展示は狭まっていたので、通常時ならどれだけかかるんだろう。
さて、お城を出たら次は庭へ。
すぐ隣にある湖を挟んで広大な庭がある。(広大といってもポツダムのツェツィリエンホーフ宮殿ほどではないので安心。)
観光マップに載っていた「湖に反射するフレデリクスボー城」が見たい。
どこからそれが見えるのか、入口のドアマンのおじさんに聞いたら丁寧に教えてくれた。
門を通って庭の方へ。
この向こう側に湖と庭がある。
さて湖の反対側まで来たので、 これがフレデリクスボー城名物、湖に映る城の姿だーーー…!!
写真では補正されてるけど、逆光でお城はほぼ真っ暗。どうやらあの写真通りの光景を見るにはもっと早い時間に来るべきだったらしい。
…と思っていたら、鐘が鳴り始めた。これはちょっと嬉しい。
庭も一周しておく。
庭は3段階くらいの丘になっていて徐々に登る。
さて、どんどん坂を上ります。
お城の眺めがこの庭のハイライトで、庭自体にはそんなに見どころはないです。
以上でフレデリクスボー城観光は終了。
門から出て正面入り口へ回る。
放っておいたらこのお城だけで1,000枚写真を撮りそうなのでかなり自制したら、かえって自分の感動を振り返るのには写真が足りない。もっと撮っておけばよかった。
ヨーロッパの豪華絢爛巨大宮殿もいいんだけど、あっちは完全にロマンの世界。
北欧・東欧のお城は他の大国に比べると小さめで、素材も大理石とか宝石じゃなく石や木でできていて、あくまで「当時この国を守っていた国王が、敵に攻め滅ぼされないために建てた要塞」って感じなのが日本のお城と通ずるものがあり楽しい。狭い階段を甲冑着て兵士が歩いたのか…とか、敵が攻めづらいように工夫されている…とか、当時の使われ方を想像するのも楽しい。
それでいてフィクションの世界で想像する「中世」をそのまんま具現化したようなデザインなので厨二心もくすぐられて妄想が止まらない…。
(ちなみに私が今までで一番、厨二妄想爆発したのはチェコのチェスキークルムロフ城です。建物も展示されている武器や衣装も、橋も庭も、全てがRPGの世界だった。脳の血管がはち切れそうになるのでオタクは気をつけて行ってください。)
現代のデンマークのデザインセンスにも通ずる美しさ、北欧雑貨のようなカラフルかわいいインテリアも楽しめるフレデリクスボー城。青空と湖だけが澄み渡る中に佇むオレンジ色の古城は無二の存在。
余談ですが、この「フレデリクスボー」って名前もなんだかボーッとしてるし日本人に馴染みにくい名前だなぁ…と思うのですが、デンマーク語では「Frederiksborg」。「Frederiks」は西洋によくある名前「フレデリック」だとして、「borg」はドイツの「ハンブルク」や「ルクセンブルク」などにある「ブルク」をデンマーク語読みすると「ボー」になる、ということだと思われます(予想)。「ブルク=城、都市」らしいので「フレデリクス城」というのが本来的な表記かもしれない。
コペンハーゲン観光に訪れた方はぜひともこのお城も候補地に入れてください。きっと後悔しない。
そして私と同じく「フレデリクスボー城なんて見たことも聞いたこともない」「そんなの日本で一才知られてないじゃん」というあなたも、今日から「いつか行きたいお城、フレデリクスボー城」を脳にアツアツの焼きごてで焼き付けてください。
ここまで読んだ方はもう私の写真でお腹いっぱいかもしれないけど、Googleのレビューに載ってる写真も美しいものばかりなのでぜひ見てって…!
以上。
いよいよ明日は帰国日です。
このブログのシリーズは帰国後の後厄処理編まで続きます。
(16日目に続く)
参考文献: