今期、予告は目に入ってきたけど「どうなのかな〜」と思っていた動物作品2本。
その後、評判があまりにもいいのでどちらも観に行きました。
予告編はこちら。
事前の期待としては「犬ヶ島」>「ピーターラビット」
「犬ヶ島」
- なんてったって「グランド・ブダペスト・ホテル」の監督。
- その監督がストップモーションアニメで、日本を舞台に描くということでどんなものになるのか…ゴクリ。
- 日本=サムライ!ニンジャ!というわけではない、犬と少年の物語ということで、「ザ・海外から見た日本」という感じでもなさそう。
一方、「ピーターラビット」
- 子供向けかな〜…と思っていたのに「意外とそうじゃない」という観た人の感想がちらほら。
- 同じく絵本が題材の「パディントン」がめちゃくちゃ良かったので、もしやこれも良い方向に想像を裏切ってくれるのでは? という淡〜い期待。
で、結果。
「ピーターラビット」かわいいよぉぉぉぉ
- スケジュールの都合でやむなく吹き替えで観たけど、日本語版フロプシーがやば萌え
- うさぎの三姉妹の中でも気がきく苦労者で、なんといってもなんで「ですます」口調にしたんですか天才かよ
- モプシー「私が仕切る! だって私が15秒年上だもん!」 コットンテール「ヒャッハー人間狩りィィィ」 フロプシー「もぉ〜… いつもそうなんですからぁ…」天才かよ
- 話自体は、冒頭からパパがミートパイにされたり宿敵のおじいさんがポックリ死んだりと命に厳しい
- 亡くなったおじいさんから田舎の家と畑を相続したロンドンっ子・トーマスと、ピーターラビットとのはちゃめちゃバトルが本筋
- 畑の作物だけでなく、ピーターラビットを可愛がってくれる画家の美女・ビアをめぐる恋のバトルでもあるからもう大変
- 悪役トーマスもピーターラビットもどちらもそこそこウザい性格で、どっちも応援できない
- そもそも人間側からしたらピーターたちは害獣だってのもわかるし…という、主人公=正義と一概に決めきれない歯がゆさが冒頭からある
- でも闘争の過程で、ピーターラビットもトーマスもどちらも自分のエゴのために周りが見えていなかったことに気付き、どちらも同じだけ反省して同じだけ歩み寄る…という解決への向かい方がとても良かった
- 善悪二元論で描かれた作品って苦手…という方に圧倒的にオススメ
- あと、人口の少ない片田舎で出会った年頃の男女・トーマス&ビアがプラトニックに恋心を芽生えさせていく様がもうかわいすぎるよ高校生かよ幸せかよ幸せになってくれよ
- そういう意味でも「主人公 vs 敵役 かつ、それぞれにそれぞれの言い分がある」な構図から、各自の未熟さと魅力をうまく描き出して、最終的にはみんなのことを応援したくさせる、視聴者の気持ちの持っていき方がとてもきれい。見終わった後に「でもアレはどうなんだ」みたいな突っかかりがほとんどない
- とにかくもうトーマス役のドーナル・グリーソン(「ハリーポッターと死の秘宝」「スターウォーズ」シリーズにも出演)がかわいすぎ、ビア役のローズ・バーン(X-MENのモイラ役)はきれいすぎ、そしてぇぇぇフロプシーの吹き替え良すぎぃぃぃいいいいいい
- 主人公ピーターラビットの性格がわりとウザいので、これを機にピーターラビットとかうさぎにどハマりするってことはさすがに無いと思いますが、ファミリーものと侮ってはならない作品でした。
でもやっぱり「映画館で観る」なら「犬ヶ島」
- アートワークのすばらしさは、さすが「グランド・ブダペスト・ホテル」の監督!
- 話は、日本列島の架空の都市・メガ崎市にて、犬の感染病が社会問題になり、犬嫌いな市長がすべての犬をゴミ島に追放してしまう。
- 犬に理解のある研究者が感染病を治す血栓を作っているのに、先祖からの因縁で犬を粛清したい市長は裏社会とも手を組んで強行突破。
- 愛犬をゴミ島に連れ去られてしまった市長の養子・アタリは、12歳にして単独ゴミ島に乗り込んで愛犬を探し出し、市長にだまされきった市民に立ち向かう!という冒険譚。
- 日本を舞台にしているだけに、建物や街並みはさることながら、随所に日本の浮世絵・マンガ・アニメ的表現(取っ組み合いのケンカをモクモク雲で表すとか)をストップモーションアニメの手触りの中で昇華しているのが見事。
- 犬の毛並みや陶器のような素肌など、「手で触ってみたくなる」質感が素晴らしい。
- 空き瓶で作った家でのシーンとか、キラキラと眩いカラフルなガラスと、そこに映る犬たちのシルエットが綺麗すぎてもうずっとここにいて欲しいって思った
- そういった手放しで絶賛できる美術的なクオリティとか「日本をリスペクトしてくれる外国人作家」贔屓とかを抜きにして、イチ作品として見ると、こちらは「ピーターラビット」よりも話の強引さが気になってしまった…
- 愛犬を探してゴミ島を冒険しているところはワクワクするんだけど、市長の悪行をどう止めるか…というところで、なんかイキナリあっさり解決した、という感じ。あと終わってから「あの設定って必要だった?」と思うところもちらほら…
- あとうちは犬を飼ってないので想像でしかないですが、日本におけるペットって「家族」としてよく言われると思うのですが、この作品のペットは「主人に忠誠を誓っている」っていう上下の関係で、なんかギャップを感じました。
- あと主人公の少年・アタリの顔色が悪くて常に心配。死ぬの?このあと死ぬの?って常にハラハラしちゃう
- でも声優さんはめちゃくちゃ良かった
- あと音楽はやっぱり最高に良かった懐かしい切ない愛おしい
- しかしそのいろんなことを差し引いても、これは映画館で、っていうかできうる限りの巨大なスクリーンで見て欲しい
- なぜなら画面の中の字の書き込みがすごく細かくて、その細かい字にこそ作品の質感とかユーモアが詰まっているから…!!!
- ただ映像を眺めるのではなく「字を読みに行く」という心持ちで臨んでください。素敵すぎる映像美にゆったり浸りたいのに、字も読まないと話を追えない!という慌ただしさにあくせくして、「なんか大事なことを見落とした気がする…?」という忘れ物感が残ります。
結論!
「ピーターラビット」の方が萌えるけど映画館では迷わず「犬ヶ島」を選択した方がいい、そして「ピーターラビット」は騙されたと思って日本語吹き替え版を観てみて欲しい。
以上、すべて個人の感想でした。
公式サイトはこちら…
このサイトを見ても全く期待値は高まらないですが、観たら萌えるから本当に信じて。
「ピーターラビット」に対して力の入りようがハンパないこのオフィシャルサイトよ。
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COMIC CITY福岡が楽しみすぎてもうお尻が浮いて浮いてふわっふわです。
— 旅するトナカイ*COMIC CITY福岡O-10-a (@fusakonomanga) 2018年6月4日